女の子ですが！ (ページ26)

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なまえで呼んで！ページ26

＞ ryo

猪「A、ちょっと今から俺が指さすからさ、その人の名前呼んで？」

撮影の合間、ガリさんはいきなりそう言うとすぐに、パッと俺を指さした。…厳密に言えば指じゃなくて手で指してるけど、まぁそこはいいとして。

おお、ついに始まった！なんて気持ちになる。

『…涼ちゃん？』

猪「はい次」

『瑞稀くん』

猪「ん」

『優斗』

猪「はい」

『さくま』

猪「俺は？」

『いがり』

作「…うーん」

一通り俺らの名前を呼んだA。ガリさんも作ちゃんもいかにも不満気だけど、まぁ不思議そうな顔をしてる。

『…名前がどうかした？』

猪「もっかい俺のこと呼んで」

『いがり』

作「俺は？」

『さくま！』

猪「もう一声！！」

『ええ？いがり……なに！？どういうこと？』

優「下の名前で呼んでほしいんだろ！」

熱くなる2人に、ついに優斗がちゃは！と吹き出した。

年下組による呼び方論争。

実は2年ほど前から2人の間でずっと行われていたソレ、今日ついに本人に話を切り出せたわけだが、未だきょとーんとするAに俺と瑞稀は目配せ。
…うん、まーこういうとこ鈍いから気付くわけないよね。

『下の名前？なんで急に？』

猪「いやいや全然急じゃない！ずっと思ってたけど、俺らだけ名字呼び捨てって！」

作「1回も下の名前で呼ばれたことないけど！なんでなの？」

『そんなの気にしたことなかったけど…うーん、年下で後輩だからじゃない？』

猪「ヴッッ」

作「ぐはぁッ」

瑞「全うな理由を返してやるな」

言い返せない一撃が入って、ソファに倒れこむガリさんと作ちゃん。

…なんかもうちょっとコントみたいになってきたな、って思ったら優斗が隣で同じことを呟いた。

『佐々木も岩崎もそうだし、あと浮所。…那須くんは那須くんだけど』

そして真剣な顔で始まる追撃。
返す言葉が見つからずにウンウン唸る2人に、もはや俺は可哀想になってきたけど、Aもそれを見て…

『あはは。私より大人になったら考えてあげる』

猪「一生無理じゃねえかよ！！！」

作「お願い考え直してAちゃん！！！」

…慈悲かと思ったけど全然そんなことなかった。

相変わらず年下を手のひらの上で転がしがちなA、当の本人はきゃっきゃ笑ってるけどまぁ可愛いからいいよね～なんて思った。他人事。

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