女の子ですが！ (ページ38)

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演舞場の裏口を抜けて、マネージャーに連絡を送る。もうそこまで来ているらしい。

…少しだけ歩いてから、ちょうど周りから死角になりそうな場所に壁を背にしてしゃがんだ。とは言ってもまだ終演直後だし、1番に抜けてきたから人も少なくて助かるなぁ。

「…もう、どこ座り込んでるの」

『うわ、サヤさん』

「うわ、じゃないよ、危ないでしょうが…早く車乗って」

『早くない…？』

目の前に影が差して、見上げるとマネージャーの朝矢(アサヤ)さん。通称サヤさん。

ぐい、と手を引いてもらって…少しだけ立ちくらみがしたけど、頭を振って慌ててサヤさんの背中を追いかける。運転席に乗ったのを横目に、私も後部座席へ乗り込んだ。

朝「みんなの舞台最後まで見たの？どうだった？」

『んー、あのね』

朝「ん？」

『……すごい、良かったなあ』

サヤさんがシートベルトを付けながら言う、そっかって返事を聞きながら、シートに体を預けて目を閉じると、6人全員並んだ美少年とその横の、いつもの5人の姿が浮かんだ。

……私がいなくても、あんなに…いや、私がいないほうが？

なーんて。

朝「メンバー。会いに行ってないでしょ」

『…ええ、なんで？』

朝「見てたら分かるよ。これでも5年くらい一緒なんだから」

『あは、流石…時間気にしちゃって、早く出てきたんだよね』

朝「まだ余裕あるって言ったよね？」

『ええーそうだっけ…』

いや、ちゃんと聞いてたんですけどね。

目を開けると、バックミラー越しに溜め息をつくサヤさんと目が合った。う、視線が痛い。

朝「…行かなくて平気なの？」

『……だって、サヤさんにも見てほしかったよ。ほんとに良かったの。…今メンバーとちゃんと話せるか自信ないくらい』

朝「またぁ？5人とも、いつも言ってくれてるじゃん、あずが必要だって。そのままがいいって。あずだってHiHi好きじゃないの？」

『好きだよ。でも、好きだからこそ…みたいなのって、よくあるじゃん』

朝「それ、本当に相手のこと想ってることになると思う？」

そんなサヤさんの言葉を遮るように、ピコンピコン鳴り始めたスマホ。
みんな楽屋に戻ったのかな…って、中身をなんとなく察するけど、少し助かった。ただ通知は止まらないし、サヤさんも指摘するし、観念して緑のトークアプリを開く。

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