10 ページ10
:
「──そろそろタイムリミットだ。まずは、僅かな可能性に賭けて…フェイク動画を撮った人!!」
夜。8時前。手を挙げる先生を前に、皆静まり返る。
「…仕方ない。じゃあ刑事さんに、当ててもらおうか。刑事さん、分かりましたか?」
先生が問い掛けると、スマホのスピーカーから、刑事の声が聞こえ始める。
「ああ、直前まで迷ったけどもなぁ」
「へぇ、ちなみに誰と迷ったんですか?」
「熊沢花恋と里見海斗だ」
二人に注目が集まる。私は机上の一点を見つめていた。
「里見とはまた意外ですねぇ」
「里見は真壁からジャージを借りていた。彼を更衣室に案内した大会関係者も見つかった。里見がイケメンだから覚えていたそうだ。問題は、どちらがこの動画を撮ったのか。その鍵を握るのは、袖の汚れだ」
刑事の言葉を聞いた先生は、スマホでその指摘を確認する。袖には、オレンジ色のシミが付着しているようだ。
「恐らく何かが付着して、洗ったんだろう。そこで二人に、その日何を食べたのか聞いてもらった」
……誰に?警察と連絡を取れる人物が、この中にいる、?
そんな疑問を他所に、刑事の推理は進む。
「その結果、一人がトマトジュースを飲んでいた」
「トマトジュース。確かにトマトジュースなら、オレンジ色のシミが付きそうですね。で、その生徒は、一体誰だったんですか?」
「──熊沢花恋だ」
皆の身動ぐ音が一斉に聞こえた。皆が花恋を見たからだ。花恋は震える声でちがう、と言った。
「違う、私じゃない!私じゃない!!──私は大会の日はゼリーしか食べてないって言ったでしょ…?!」
「え?あ!そうだったすまない熊沢!先生、間違えちゃったよ、ハハッ」
「おいおいちょっと待てよ、どういうことだ!」
「刑事さん、やぁ大変すばらしい洞察力でした。しかしあなたは、内通者を、信じすぎた」
どういうこと?もしかして、先生が内通者を演じて…?と思ったけど、違うみたいだ。
「内通者は僕じゃありませんよ。ただ僕も、刑事さんとその生徒のやり取りを、閲覧することができるんです」
「内通者の生徒は、お前の共犯者ってことか」
「ピンポーン」
「内通者って、なに?」
「この中に共犯者がいる」
ぽつり、と疑心の種が落ちる。
「ちなみに最後のメッセージは僕が送りました。残念でしたねぇ、刑事さん」
:
1128人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麻衣(プロフ) - ふと思い出して、久しぶりに読みました!やっぱり続きが気になるほど面白いです(*^^*) (2021年8月23日 17時) (レス) id: 54c29ceb24 (このIDを非表示/違反報告)
paruru1012(プロフ) - 続きが気になる、、笑 (2020年8月18日 18時) (レス) id: 13c845282e (このIDを非表示/違反報告)
nerine(プロフ) - とっても楽しく読ませて貰いました。もう更新はしない感じですかね?もし、作者様にお暇があれば是非無理のない程度にお話書いてくれるととっても嬉しいです!もし、書くつもりが無いようでしたら他の人に引き継いで貰ってはどうでしょう。楽しみにしてます!! (2020年3月31日 19時) (レス) id: b9ed9857b8 (このIDを非表示/違反報告)
みる - めちゃ面白いです!とても上手で凄いです!これからも頑張って下さい! (2019年3月13日 23時) (レス) id: f3a7e8072b (このIDを非表示/違反報告)
ほたる(プロフ) - りあさん» コメントありがとうございます^^ 好きと言って頂けてとても嬉しいです!更新までもう少しお待ちください…! (2019年3月5日 19時) (レス) id: d2c549795f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ほたる | 作成日時:2019年2月10日 23時