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一瞬、全ての音が消えて、思考が遮断された。
「うそ、」
「嘘じゃない」
「だって、そんなの知らない…ならなんで私に、!」
「言っただろ、嫌われてもいいからって。それより無関心でいられるのが一番怖かった」
「…なにそれ…だからって…」
不自然に、言葉が途切れた。何を言えばいいのか、分からなかった。里見の気持ちにも戸惑ったし、あのことのきっかけが澪奈だってことも、澪奈の動画を撮ることを間接的に誘発したのが私だってことも、衝撃だった。私はまた、何も知ら
なかった。知らないところで、色んなことが起こっていた。
「でもなんで…なんで澪奈がアンタにそんなこと言ったの…」
あれは、もう終わったことだった。何もなかったら、澪奈が里見にそんな風に言うわけがない。
「…景山を利用しようとした。そうだろ?」
ずっと黙っていた先生が、里見を見て言った。
「突き放されても、ずっとAのことを諦められなかった。誰と付き合ってもAは見向きもしない、でも景山なら、そう思ったんだろ?」
「ッそうだよ」
「"振られるのが怖いのか"、"真正面から向き合わないと振り向いてくれない"、"もうAを傷つけないで"…景山に言われたことを、認めたくなかった」
「だから!!そうだっつってんだろ!!」
淡々と言葉を紡ぐ先生に、里見は吠えるように噛みついた。私は澪奈の思いを、先生のその言葉で初めて知る。あの頃、澪奈は私と里見の関係について深く追求してこなかったけれど、そんな風に思っていたんだ。今頃になって、知ることになるなんて。それを考えたら、今も責任から逃れようとする里見が益々許せなかった。
「なに開き直ってるの…」
張り詰めた空気を、私の震える声が揺らした。里見の赤い目元を睨みつける。
「さっきから全部澪奈のせいにしてるけど、結果そういう行動を取ったのは自分でしょ…自分は悪くないって、本気で思ってるの?」
「ッ別に、そういうわけじゃ、」
「なら認めてよ!どうして…ッ全部アンタのせいでしょ…?言っておくけど、私はもし澪奈がいなかったとしても、アンタのことなんて好きにならなかった…!…きらい、アンタみたいなやつ、大っ嫌い…!」
ああ、何を、言っているんだろう。支離滅裂だと、頭の片隅で思った。戸惑いと怒りがごちゃまぜになって、上手く言葉にできないけれど、湧き上がるそれを感情任せに、里見にぶつけた。そしてじわりと目が熱くなるのを感じながら、つま先を見つめる。
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麻衣(プロフ) - ふと思い出して、久しぶりに読みました!やっぱり続きが気になるほど面白いです(*^^*) (2021年8月23日 17時) (レス) id: 54c29ceb24 (このIDを非表示/違反報告)
paruru1012(プロフ) - 続きが気になる、、笑 (2020年8月18日 18時) (レス) id: 13c845282e (このIDを非表示/違反報告)
nerine(プロフ) - とっても楽しく読ませて貰いました。もう更新はしない感じですかね?もし、作者様にお暇があれば是非無理のない程度にお話書いてくれるととっても嬉しいです!もし、書くつもりが無いようでしたら他の人に引き継いで貰ってはどうでしょう。楽しみにしてます!! (2020年3月31日 19時) (レス) id: b9ed9857b8 (このIDを非表示/違反報告)
みる - めちゃ面白いです!とても上手で凄いです!これからも頑張って下さい! (2019年3月13日 23時) (レス) id: f3a7e8072b (このIDを非表示/違反報告)
ほたる(プロフ) - りあさん» コメントありがとうございます^^ 好きと言って頂けてとても嬉しいです!更新までもう少しお待ちください…! (2019年3月5日 19時) (レス) id: d2c549795f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほたる | 作成日時:2019年2月10日 23時