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──お前のしてきたことは全部独りよがりなんだよ!
まざまざと、あの日の光景が思い浮かんだ。
「俺と付き合ってくれないか」
あの日、俺は景山を呼び出して告白した。絶対にOKが返ってくると、その時までは思ってた。
「…ごめん」
ぽつりと、たった一言。あれ、俺今振られた?理解するのと同時に、点々と黒い感情が胸の内に広がっていくのを感じた。
「まじかよ……俺まともに告ったの初めてなんだけど。俺超ダッセェじゃん……好きな奴とかいんの?」
黙りこくったままの景山に、何となく察した。
「もしかして真壁?……ありえねぇ、選手でもねぇし、ただのマネージャーだぞ」
景山は何も言わない。くそ、と内心ごちる。アイツがいなかったら、俺はまたチャンスを掴めたかもしれないのに。なんでだよ、最後の手段だったのに、本当にもう終わりじゃん。
「男見る目ねぇな」
そう言い捨てて背を向けたとき、景山が非難するような色を滲ませて、何かを言った。
「…だからなの?」
何がだよ。振り返って、睨むように景山を見た。
「振られるのがダサい、って、だからAに、何も言わなかったの?」
「は、何言って、」
「私、里見くんがAにしたこと知ってるよ」
途端に、息が詰まった。
「Aのことが好きなんでしょ?振られるのが怖くて、好きって伝えなかったの?だから、あんなことしたの?…ねぇ、間違ってるよ、それ」
「…黙れよ」
「今だって、私を利用しようとしたんでしょ?ズルいよそんなの。真正面から向き合わないと、Aはいつになっても振り向いてくれないよ。Aのこと、もう傷つけないで」
「だから黙れって!!」
そんなこと、俺が一番分かってんだよ。お前に言われなくなって、そんなこと、俺が…!
「…お前に、何が分かんだよ、知ったような口聞くなよ!俺はずっと、お前が羨ましかった。お前がいたから、俺は…!」
アイツにだけは、間違ってるなんて言われたくなかった。人の気も知らないで、誰のせいで俺があんなことしたと思ってんだよ。腹の奥から妬み嫉みが這い上がってきて、爆発しそうだった。
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麻衣(プロフ) - ふと思い出して、久しぶりに読みました!やっぱり続きが気になるほど面白いです(*^^*) (2021年8月23日 17時) (レス) id: 54c29ceb24 (このIDを非表示/違反報告)
paruru1012(プロフ) - 続きが気になる、、笑 (2020年8月18日 18時) (レス) id: 13c845282e (このIDを非表示/違反報告)
nerine(プロフ) - とっても楽しく読ませて貰いました。もう更新はしない感じですかね?もし、作者様にお暇があれば是非無理のない程度にお話書いてくれるととっても嬉しいです!もし、書くつもりが無いようでしたら他の人に引き継いで貰ってはどうでしょう。楽しみにしてます!! (2020年3月31日 19時) (レス) id: b9ed9857b8 (このIDを非表示/違反報告)
みる - めちゃ面白いです!とても上手で凄いです!これからも頑張って下さい! (2019年3月13日 23時) (レス) id: f3a7e8072b (このIDを非表示/違反報告)
ほたる(プロフ) - りあさん» コメントありがとうございます^^ 好きと言って頂けてとても嬉しいです!更新までもう少しお待ちください…! (2019年3月5日 19時) (レス) id: d2c549795f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほたる | 作成日時:2019年2月10日 23時