3月3日 ページ1
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その日、ぼんやりとした街灯の光だけが辺りを照らす、夜の公園。
「澪奈…どうしよ、どうしよう…っ!なんで、私、何もできなかった…っ私のせいで、」
「違う!Aのせいじゃない。絶対に違う!だからそんなこと言わないで…」
「ッだって、私これからどうすればいいの…?なんで私だけ、っ二人のところに行きたい、早く死んじゃいたい…」
「A──」
ねぇ澪奈、あのとき、言ってくれたよね。私、澪奈がいるから、生きようって思えたんだよ。なのになんで、私を置いていったの──?
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3月3日。私達3年A組が担任に人質に取られてから、3日目の朝。
「俺の授業を始める」
今日もまた、先生の授業が始まろうとしていた。
「どうだ、昨日は寝られたか?」
「寝れるわけないでしょ」
「そうか、やっぱり暖房完備でも雑魚寝はキツイか」
「くだらねぇこと言ってねぇでさっさと解放しろよ」
「なら、早いとこ真実を掴まないとな」
先生は言いながら、何故かカーテンを閉めていく。不思議に思っていると、後ろの黒板に回った先生が言った。
「じゃあ早速だが、今日の課題を発表します」
そしてさくらに電気を消すよう指示すると、黒板にある映像を映し出す。ドーピング疑惑に使われた、あのフェイク動画だ。
「この動画を、SNSに投稿したのは宇佐美だ。だが、撮影したのは、別の誰かだった」
「どうだか。罪を軽くする為の言い逃れじゃねぇの」
「宇佐美が言ってることは本当だ。フェイク動画を撮った生徒は、この中にいる」
またクラスに、疑心が生まれる。
「先生は誰か知ってるんですか…?」
「だいたいの目星はついてる」
なら、なぜ先生自身がその生徒を暴かないのか。昨日のように、その生徒が自白すること、私達が考えることに、意味があるから?それとも、別の目的があって?
「さぁ、動画を撮った人、正直に手を挙げて!」
「挙げるわけねぇだろ!」
「じゃあ動画を撮った生徒を、見つけないとな」
「見つけるってどうやって…」
昔から犯人探しは、お巡りさんの仕事だと決まっている。そう言って先生は、スマホを手に取った。
「というわけで、今の話聞いてましたか?郡司真人警部補」
先生のスマホは、警察に繋がっていた。私には先生の考えていることが、全く分からなかった。
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麻衣(プロフ) - ふと思い出して、久しぶりに読みました!やっぱり続きが気になるほど面白いです(*^^*) (2021年8月23日 17時) (レス) id: 54c29ceb24 (このIDを非表示/違反報告)
paruru1012(プロフ) - 続きが気になる、、笑 (2020年8月18日 18時) (レス) id: 13c845282e (このIDを非表示/違反報告)
nerine(プロフ) - とっても楽しく読ませて貰いました。もう更新はしない感じですかね?もし、作者様にお暇があれば是非無理のない程度にお話書いてくれるととっても嬉しいです!もし、書くつもりが無いようでしたら他の人に引き継いで貰ってはどうでしょう。楽しみにしてます!! (2020年3月31日 19時) (レス) id: b9ed9857b8 (このIDを非表示/違反報告)
みる - めちゃ面白いです!とても上手で凄いです!これからも頑張って下さい! (2019年3月13日 23時) (レス) id: f3a7e8072b (このIDを非表示/違反報告)
ほたる(プロフ) - りあさん» コメントありがとうございます^^ 好きと言って頂けてとても嬉しいです!更新までもう少しお待ちください…! (2019年3月5日 19時) (レス) id: d2c549795f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ほたる | 作成日時:2019年2月10日 23時