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「はい、起立」
突然そう言われても、誰も立つことはなかった。
「起立だよ、はい、きーりーつ」
それでも誰も立たなかった。先生は袖を捲り、腕──もっと言えば腕時計を見せつけるように翳した。バッ、と一番初めに立ったのは瀬尾くんだった。そう、あの腕時計はそう見えるだけの爆弾のスイッチだった。つまり、ここで立たないと爆破される。それを悟って皆一斉に立ち上がる。
「これから、俺の授業を始める。礼」
私は軽く頭を下げた。どうせまた脅されるんだから、初めから従っておいた方がいい。でもやっぱりそうしない人もいる。先生は再び腕時計を見せつける。やっと全員が頭を下げたようで、「着席」と告げられた。
「どうしてこのクラスは、人質になったのか。はい、わかる人？──じゃあ宇佐美」
「はぁ？分かるわけないし…」
「いや分かるはずだ。よく考えて」
「…皆がぶっきーに酷く当たるから」
違う。きっと香帆もそれが正解だと本気で言っているわけじゃない。──やっぱり、きっと、そうなんだ。
「なるほど。まぁ確かに、教師に対するリスペクトはゼロだよなぁ…。でもそんな理由で、ここまでスぺクタクルな仕打ちはしないよ。ヒントは──他のクラスにはなかったことだ」
「…Aに聞けば？さっき心当たりあるって言ってたし」
唯月はいきなり私を名指しした。言い方にかなり刺がある。
「ああ、確かにAはもう分かってるだろうな。けど、正解を知ってるやつに聞いても意味がない──自分達で考えるんだ」
考えるもなにも、答えが分かっているのは私だけじゃない。先生は「お前はどうだ」と唯月を指した。
「…警察沙汰になったやつがいる」
「てめぇ喧嘩売ってんのか？」
「甲斐が起こした傷害事件か。まぁ、それも関係なくはない」
先生は私の真横まで着て、バン！と私の机を叩いた。
「君達も、もう分かってるはずだ──でも、答えたくない」
低い声だった。あの頃の記憶が、まざまざと蘇る。いじめられていた澪奈。私は彼女の隣にいて、彼女のために少しでも何か、救いになるようなことができていたんだろうか。
「──澪奈ですか？景山澪奈が自 殺したことですか」
さくらの静かな声が、やけに胸に突き刺さった。
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ここここ - 私もサ読み君が大好きなので、読んでいて思わず笑みがこぼれそうです (2019年2月11日 20時) (
レス) id: a0edfdd1ef (このIDを非表示/違反報告)
ほたる(プロフ) - 胎児????さん» コメントありがとうございます^^そんな風に言って頂ける程の文ではありませんが、大変嬉しいです…！最近客観的に自分の作品を見るということが難しかったので、他の方にそう言って頂けるのはとても励みになります！これからの展開もぜひ見守って頂けたらなと思います。 (2019年2月9日 17時) (レス) id: d2c549795f (このIDを非表示/違反報告)
胎児????(プロフ) - コメント失礼します。本当はコメントは控えよう！と思って見ていたのですがあまりの素晴らしさにコメントを書かずにはいられませんでした。お話の進め方や書き方がとてもお上手で読みやすいです。これから里見くんとの関係がどう変化していくのかとても楽しみです。 (2019年2月8日 19時) (レス) id: 8684af6c84 (このIDを非表示/違反報告)
ほたる(プロフ) - ソラさん» コメントありがとうございます^^次のお話でもっと里見くんとの関係を掘り下げていく予定なので、お楽しみ頂けたら幸いです…！ (2019年2月8日 19時) (レス) id: d2c549795f (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 里見くんとの和解というか、優しい展開になっていくのをゆっくり見守りたいです。かっこいい。 (2019年2月8日 5時) (レス) id: 06b27bfe9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほたる | 作成日時：2019年1月27日 22時
