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「でも、嫌がらせとか、そういうつもりじゃなかったのは本当なんだよ…」
情けない声で項垂れる里見に、私は苛立ちをぶつける。
「じゃあ、なに、自分が満足するための道具にしたかった？」
「っ違う！俺は、ただ……」
「はぁ…もういいよ。もう、忘れて。私もそうするから…」
「俺は忘れたくない」
今まで俯き気味だったくせに、その言葉だけは、真っ直ぐ、明確な意思を持って伝えてくる。せっかく忘れていいって、言ってるのに。その方が絶対、里見にとっても好都合なはずなのに。
「…私、もう戻る」
これ以上、掘り返すのはやめよう。私は都合よく使われただけ。そうとしか思えない。そうに決まってる。
何も言わない里見を置いて、教室に向かった。
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「はは…嫌われてんなぁ…」
分かってたことだけど。
Aのいなくなった廊下。冷たい壁を伝うように、腰を下ろす。
「何がしたいんだよ、俺…」
ただ、好きだった。それだけだった。俺を見てほしかった、それだけだったのに。
高一の夏を、思い出す。
──バラされたくなかったら、俺の言うこと聞いてよ
「バカすぎるだろ、なんであんなこと言ったんだよ…」
あの時は、チャンスだと思った。何にも見向きしないAが、唯一振り向いてくれる方法だと思った。それが、例え良い感情じゃなくてもよかった。Aが俺を認識してくれるだけで…。だから、だから…
くそ、こんなの言い訳だって、分かってる。
俺がAを傷つけたことには変わらない。
──私を殺せば？
昨日、Aが茅野を庇ったとき。あいつの目は、あの時と一緒だった。弟が死んで、自暴自棄になってたあの時と。
怖くなった。今度こそ本当に、Aが死ぬんじゃないかと思った。だから、今更だと分かっていたけど、とにかくAと話がしたくて、ずっと抱えていた悔恨を打ち明けるべく、声を掛けた。このまま全てをなかったことにしていいのかと、そう思った。
正直、心の中でどこか、Aが俺を許してくれることを期待していたんだ…。けど、Aの俺を見る目は冷たくて──もうどうすることもできないんだと、何もかもが遅かったんだと、俺はそこでやっと理解した。
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ここここ - 私もサ読み君が大好きなので、読んでいて思わず笑みがこぼれそうです (2019年2月11日 20時) (
レス) id: a0edfdd1ef (このIDを非表示/違反報告)
ほたる(プロフ) - 胎児????さん» コメントありがとうございます^^そんな風に言って頂ける程の文ではありませんが、大変嬉しいです…！最近客観的に自分の作品を見るということが難しかったので、他の方にそう言って頂けるのはとても励みになります！これからの展開もぜひ見守って頂けたらなと思います。 (2019年2月9日 17時) (レス) id: d2c549795f (このIDを非表示/違反報告)
胎児????(プロフ) - コメント失礼します。本当はコメントは控えよう！と思って見ていたのですがあまりの素晴らしさにコメントを書かずにはいられませんでした。お話の進め方や書き方がとてもお上手で読みやすいです。これから里見くんとの関係がどう変化していくのかとても楽しみです。 (2019年2月8日 19時) (レス) id: 8684af6c84 (このIDを非表示/違反報告)
ほたる(プロフ) - ソラさん» コメントありがとうございます^^次のお話でもっと里見くんとの関係を掘り下げていく予定なので、お楽しみ頂けたら幸いです…！ (2019年2月8日 19時) (レス) id: d2c549795f (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 里見くんとの和解というか、優しい展開になっていくのをゆっくり見守りたいです。かっこいい。 (2019年2月8日 5時) (レス) id: 06b27bfe9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほたる | 作成日時：2019年1月27日 22時
