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「そこで今日は、この動画を投稿した人間に、名乗り出てもらいたい」
一瞬思考が、止まった気がした。だって、それはつまり、その人物は澪奈の自 殺に深く関与している、ということ。そんな人が、この中に。
「…この中にいるんですか？」
「ああ」
「はい、やり逃げXさん手ぇ挙げて！」
先生は自らの手を挙げて、やり逃げXに名乗り出るよう催促する。でももちろん、素直に手を挙げる人はいない。
「そうか…じゃあ、夜の8時まで待つか！それまでに名乗り出てくれれば、今日死人は出ない」
「じゃあ、名乗り出なかったら、」
「この中の誰かが死ぬ」
皆、頭を抱える。やり逃げXが自分から申し出れば、こんなに簡単な課題はないけれど、きっとそう上手くはいかないだろう。
「盛り上がっていこうか」
また今日も、罪の擦り付け合いが始まるのだと悟った。
「ぶっきーはまだ作業中だ。盗聴の心配はないだろう」
教室後方で、何人かが集まっている。「話ってなんだよ」甲斐が言う。招集を掛けたのは里見と真壁だった。
「…中尾は多分死んでない」
「どういうこと！？」
「さっき真壁と二人で美術準備室に行ったんだ」
「中尾がいたのか」
「あ、いや、姿は見てない。でも、部屋の中が少し見えて、全く同じパンの食べかけが二袋あった」
もしかしたら、中尾が生きているかもしれない。そんな会話を、ぼんやりと聞き流す。頭の中は、澪奈を追い詰めた人間のことでいっぱいだった。
「いやでもそれだけで生存確定は無理あんだろ…」
「あと遺体の臭いが全くしなかった！普通なら多少の異臭が漂うはずだ」
「あっ！ねぇ、A！Aは何か知らないの？！準備室にいたんでしょ？蓮のこと、見てないの？」
突然出てきた自分の名前。強制的にそっちに意識を向けないといけなくなった私は振り返る。涼音が縋るように、私を見ていた。準備室にいたって何で知ってるんだろう、そう思ったけど、すぐ近くの里見を見て、だからか、と納得した。
「…見てないよ」
そう答えると、途端に表情を暗くする涼音。
「…でも、逆に言えば遺体だって見てないし、生きてる可能性は、あるんじゃない」
私は咄嗟に、そう口にしていた。同情したからかもしれない。こんな期待させるようなことを言って、もし本当に中尾が死んでいたら、更にショックを受けるかもしれない。
けど、気休めでもいいから涼音の気持ちが軽くなればいいと思った──昔の自分を、見ているみたいだったから。
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ここここ - 私もサ読み君が大好きなので、読んでいて思わず笑みがこぼれそうです (2019年2月11日 20時) (
レス) id: a0edfdd1ef (このIDを非表示/違反報告)
ほたる(プロフ) - 胎児????さん» コメントありがとうございます^^そんな風に言って頂ける程の文ではありませんが、大変嬉しいです…！最近客観的に自分の作品を見るということが難しかったので、他の方にそう言って頂けるのはとても励みになります！これからの展開もぜひ見守って頂けたらなと思います。 (2019年2月9日 17時) (レス) id: d2c549795f (このIDを非表示/違反報告)
胎児????(プロフ) - コメント失礼します。本当はコメントは控えよう！と思って見ていたのですがあまりの素晴らしさにコメントを書かずにはいられませんでした。お話の進め方や書き方がとてもお上手で読みやすいです。これから里見くんとの関係がどう変化していくのかとても楽しみです。 (2019年2月8日 19時) (レス) id: 8684af6c84 (このIDを非表示/違反報告)
ほたる(プロフ) - ソラさん» コメントありがとうございます^^次のお話でもっと里見くんとの関係を掘り下げていく予定なので、お楽しみ頂けたら幸いです…！ (2019年2月8日 19時) (レス) id: d2c549795f (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 里見くんとの和解というか、優しい展開になっていくのをゆっくり見守りたいです。かっこいい。 (2019年2月8日 5時) (レス) id: 06b27bfe9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほたる | 作成日時：2019年1月27日 22時
