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「でもあいつ、ドーピングしてたんだろ？」
鋭い声で、甲斐が言う。"ドーピング"。そんなこと、澪奈がするわけない。澪奈はずっとずっと、誰よりも努力してたんだから。
「あぁ、あった」
「マイボイでも"景山 ドーピング"ってトレンド1位になってたし」
「あの子ほんとにやってたの？」
「やってたから自 殺したんでしょ」
違う、違う。何か言ってやりたい気持ちを押し込めるように、唇を噛む。だって、何を言ったってきっと変わらない。実際あの時だって、私が何を言ったって、この人達は変わらなかった。
「とにかく、水泳絡みが自 殺の原因ってことで間違いなさそうだな。…水泳部の責任ってわけだ」
「ちょっと待ってよ！私達別に何もやってないし！──茅野さん、余計なこと言わないでよ」
花恋は回答者のさくらに釘を刺した。再び静まり返った中、さくらはトイレに行くと言って教室を出ていった。
──そういえば、
ふとあることを思い出して、私もさくらを追うように席を立った。
「──さくら？」
一箇所だけ扉が閉まっているトイレの個室に向かって、声を掛ける。驚いたような声が聞こえた後、すぐに扉が開いた。
「A、？」
「さっきさ、何か言いかけてたよね？校庭の小屋が爆発する前……なんか、気になってさ」
「あ、あれは…びっくり、して。Aが私に話し掛けてくれたことが…」
「びっくり？なんで？」
「…Aは、澪奈を避けた私を怒ってるって、ずっと思ってたから。実際今日まで、ずっと話してなかったし──」
"澪奈を避けた私を怒ってるって、ずっと思ってたから"
頭の中で、合点がいく。でも私は別に、さくらに対して怒ったことなんてない。それでもさくらがそう感じていたのは、私の態度が原因なんだと思う。澪奈が死んでから、私はなるべく誰とも、さくらとも、関わろうとしなかったから。
「怒ってないよ。余裕なかっただけ。人と話したりとか、そういう気になれなかった」
「そ、そうなの？それじゃあなんで…今日私に、話し掛けてくれたの？」
「…もうすぐ楽になる、って、思ったからかな」
「──え？」
そう思ったら、全部どうでもよくなったの。
「なんて、ね。嘘だよ。ただの気まぐれ」
「…え、あ、なんだ、そっか…」
じゃあ私、戻るね。さくらにそう声を掛けて、トイレを出る。
ごめんね、さくら。
今の、本当は嘘じゃないの。
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ここここ - 私もサ読み君が大好きなので、読んでいて思わず笑みがこぼれそうです (2019年2月11日 20時) (
レス) id: a0edfdd1ef (このIDを非表示/違反報告)
ほたる(プロフ) - 胎児????さん» コメントありがとうございます^^そんな風に言って頂ける程の文ではありませんが、大変嬉しいです…！最近客観的に自分の作品を見るということが難しかったので、他の方にそう言って頂けるのはとても励みになります！これからの展開もぜひ見守って頂けたらなと思います。 (2019年2月9日 17時) (レス) id: d2c549795f (このIDを非表示/違反報告)
胎児????(プロフ) - コメント失礼します。本当はコメントは控えよう！と思って見ていたのですがあまりの素晴らしさにコメントを書かずにはいられませんでした。お話の進め方や書き方がとてもお上手で読みやすいです。これから里見くんとの関係がどう変化していくのかとても楽しみです。 (2019年2月8日 19時) (レス) id: 8684af6c84 (このIDを非表示/違反報告)
ほたる(プロフ) - ソラさん» コメントありがとうございます^^次のお話でもっと里見くんとの関係を掘り下げていく予定なので、お楽しみ頂けたら幸いです…！ (2019年2月8日 19時) (レス) id: d2c549795f (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 里見くんとの和解というか、優しい展開になっていくのをゆっくり見守りたいです。かっこいい。 (2019年2月8日 5時) (レス) id: 06b27bfe9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ほたる | 作成日時：2019年1月27日 22時
