混ぜるな危険小ネタ集！その５でいいみたい！

□百鬼夜行二十八歩目 ページ14

夜雀「じゃあ何？人間は昨日その村の子と森で遊んでてバケりんに会ったの？」
人間「あ…いや、そこは気になるよね…。これ、言っていいのかな…」
夜雀「言いにくいことなの？」
人間「言ったら怒られそう…」
夜雀「私に？」
人間「そう」
夜雀「…早々怒んないけど」
人間「だから言いにくいんだよ…」
夜雀「なるほどね。言ってみよ」
人間「うーん…」

何がなるほどなのか。
これは夜雀じゃなくても他の10匹に聞いたって、1匹残らず怒られるだろう。
言いにくい。
そこまで怒られ慣れてないから余計言いにくい。
でも…、断ることもしたくない。

人間「実は…」
夜雀「うん、何？」
人間「森の…お札を剥がしに…」

そう言って恐る恐る夜雀の顔色を伺う。
予想ではさっき村に帰ると告げたとき程驚くかと思ったが、実際は真顔だった。
空気が一気に真剣な雰囲気になった。心なしか睨まれている気がする。

夜雀「…そういう心算？主になれて良い機会だと思った？」
人間「いや、村の面倒臭い奴に命令されて渋々来ただけだし、雲外鏡に出会った時点でそんな目的どうでも良くなってたよ」
夜雀「それはどこまでが事実？」
人間「全部だけど…。そういえば小鬼は、11匹が絶滅すると森のお札が無くなるって言ってたけど、何か繋がりがあるの？」
夜雀「えっ…それを知らないの？」
人間「うん。噂で聞いたことがあるくらい…？」
夜雀「どんな噂？」
人間「えーっと、守り神のお札を剥がすと妖怪が自由になる…。でも、夜雀たちとのつながりは、ただ妖怪だけってことくらいだと思ってた」
夜雀「…まぁ、人ってずるい生き物だもんね。信じたくなってきた。たまに良い子もいるんだけどさ…、君は後者だってことを信じてるよ」
人間「う、うん…ありがとう」

やっぱり、優しくされても喜ばれても、信頼関係も築くのは難しい。
実際僕も村の子供たちで本当に信じてる子なんて片手で数えられるくらいだ。
そういう意味では夜雀の友好関係と似ているのかもしれない。

人間「ところで夜雀」
夜雀「ん、どうかした？」

ここで、そういえばと思ったことを口にする。
あの屋敷につくまでは結構な道のりを波山に乗って移動した気がする。

人間「全く景色が変わらないんだけど、あとどのくらいで出口？」
夜雀「…あ」

人の体力って妖怪ほどはないんだよね。

−−−−−−−−−

△昨日の友は今日の敵13→←□百鬼夜行二十七歩目

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す