【和/泉/三/月】3日後の行方(後編)【ア/イ/ナ/ナ】 (ページ2)

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ーー帰ったら帰ったで、学校は辛い。でも、彼は私を好きでいてくれた。私は何をしていたんだろう、と思った。残された人に一生癒えない辛い思いをさせるなんて、これ以上ないほど我儘で、最低なことだ。

　それに分かったのは遺書を書いた頃。手紙の内容を変えたのは、自分の気持ちに気づいたからだ。もし、私の好きな人が首をつろうとしていたら、どう思う？自問自答してみて、思い浮かんだのは彼のことだった。

……そんなの、絶対嫌だ。そう思って、決心は揺らぎ、ずっと泣いていた。やっぱり、私も彼のことが好きだったのだ。

『最期まで迷惑かけてごめんね、だいすきだよ』

これが償いになるのだろうか。これで彼は納得してくれる？
私ならしない。

「ね、手紙ちょうだい」

　電車を待っている間、私は言った。手紙を渡した彼は、不思議そうに私の行動を見つめている。小首をかしげる姿は小動物のようだ。
　手元で、ビリビリ、と手紙の破れる音。それはどんどん小さな紙片になっていった。全部まとめてゴミ箱に放る。驚いた顔をした彼に私は笑った。

「こんなの、見るもんじゃないよ」

おどけて見せて、肩をすくめる。

「また手紙かいてあげるからさ」