【和/泉/三/月】3日後の行方(後編)【ア/イ/ナ/ナ】 (ページ1)

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一瞬のうちに、唇を重ねた。

「反撃」

　恥ずかしくなって目をそらす。彼女も驚いたようで、意地の悪い笑い声は途絶えた。何秒かの沈黙。……でもそれは気まずいものではなく、嬉しさからだった。ほんのり赤くなった彼女の顔に思わずにやける。

　でも赤くなっているのはオレも同じで、暑い日差しの中、もっと暑くなってしまった。首元に汗が伝う。

「……帰ろっか」

　少し笑って立ち上がり、手を差し出す。彼女は、はにかんでオレの手を掴んだ。元気が出てくれてよかった、と改めて安心する。そのまま二人で、砂浜に足を取られながらも駅へ向かった。

「ねえ」

改札口前で不意に彼女が口に出す。振り返り、なに、と相づちを打った。

「本当に帰っていいの？」

誘惑するように彼女の指とオレの指が絡まる。表情もどこか官能的でドキリとした。本気で言ってんのか……お得意の冗談なのか分からない。でも、もしかして、さっきの雰囲気的に……。

「まだ、昼……だけど……」

　そう戸惑いながら言った瞬間、彼女の口元が笑いに変わる。そしてお腹を抱えて大きく笑っている。……冗談じゃないか！勘違いして緊張して損した。

やっぱりオレは彼女に振り回される運命らしい。ため息をついた。