【和/泉/三/月】3日後の行方【ア/イ/ナ/ナ】 (ページ46)

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不用心だな、と思いつつも、なんだか嫌な予感が頭をよぎる。いや、漠然とした不安なのだが。そろり、と家の中を覗いてみると人の気配はない。玄関には、靴もない。ただ、白い手紙の封筒だけが置かれていた。

「なに、これ」

　このまま入ったら不法侵入だろうか。でも気になる。恐る恐る地面に置かれている封筒に手を伸ばし、掠め取る。読んではだめなものだったら、すぐに傘と一緒に置いて帰ろう。

　真っ白な封筒を見回してみると、後ろに可愛らしい文字で宛名が書いてある。

『三月へ』

「え、オレ……？」

　思わず声が漏れる。オレ宛だとは知らなかった。今日、オレが来ることを知っていたのだろうか。まあ、傘を返しに来るだろうな、とは分かるか。しかし、何故オレ宛に？

　封筒を開ける。そこにはうさきが描かれた可愛らしい便箋。

……そこに書いてあった文字に動揺する。

「A！」

すぐに彼女の名前を呼び、靴を脱ぎながら家の中に入る。

　予想通り、家の中には誰もいなかった。カーテンは閉めきり、電気はつけず、暗い。でも、絶えず名前を呼び続け、部屋の中を探す。女の子の部屋なので、隅々まで探すのは気が引ける。
でも、これは絶対探さなければいけないのだ。不安が心の中で行ったり来たりする。

「どこいったんだよ」

誰もいない部屋で、彼女に問いかける。