【和/泉/三/月】3日後の行方【ア/イ/ナ/ナ】 (ページ37)

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家に入ると、三月はどこか緊張した面持ちをしていた。フローリングの短い廊下を歩き、私の家の中で一番広い六畳間に通した。幸い服や本は散らかっていなくて、ベッドの上のブランケットがぐちゃぐちゃだっただけだった。

「なんで家に連れてきたの」

ソファに隣同士ですわると三月が私に問う。だがそう問われても私もよくわからない。場の流れというか、話が続かないのが気まずいからだろうか。

「……」

何も言えずに沈黙していると、彼はしびれを切らしたような、そんな強い声で言う。

「あのさ、何で言えないのかだけ教えてもらってもいい？」

　先程の言えない、と答えた質問のことだろうか。それも言いにくい。幼馴染みとしての依存を逃れるためなんて、言えない。私がいなくなったことで彼は傷ついただろう。だから、私のこんな我儘一つで避けるようになったなんて言えない。

　できれば会いたくなかったような気もする。ずっと目を背けていたかった。

「……それも言えない？」

　その質問に俯く。無言は肯定だということは誰かが言っていた。三月もそう捉えたらしい。

　何故、家に連れてきてしまったのだろう。私の考えなしで言った言葉に後悔をした。

「……ごめんね」

　自分の袖を強く握って声を絞り出す。私のせいで三月を怒らせてしまった。このまま嫌われちゃったらどうしよう。なんだか怖くなった。
　そっか、とだけ彼は呟くように言いそこから何も言わなくなった。私の一言一言が裏目に出る。自分がもっと嫌になった。