【和/泉/三/月】3日後の行方【ア/イ/ナ/ナ】 (ページ34)

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「……単刀直入に言うけど」

深く息を吸って、吐く。それくらいの沈黙が二人の間にあった。

「なんで卒業式の後から連絡取れなくなったの」

　なにも怒るつもりはない、彼女だって何らかの理由はあったのだ。ただ、理由だけ聞きたかっただけだ。ずっと仲の良い友達だった彼女が何故急にいなくなったのか。あの時はずっと哀しかったから。オレは彼女にできるだけ優しいトーンで言う。

あ、う、と吃音を漏らして彼女は言いにくそうにした。少し俯いて、机の模様をじっと見つめている。

「だって」

うん、と相槌を打った。

「だって三月は」

やはりオレのせいなのか。ギュっと自分の手を握った。固唾を飲み込んで彼女の言動を見守る。

「三月は、私のこと好きだったでしょ」

「へ」

　思わず間抜けな声が出る。その上目遣いで真剣な眼差しに、お得意の冗談を言っているわけではないということがわかった。なぜそれを知っている？
焦ってしまって落ち着こうと思い、紅茶を飲もうとしたが手が震えて口に入らない。顔が熱くなって何がなんだかわからなかった。

「ななな、な？」

紅茶が口横に流れた。声も震える。彼女の台詞はあまりにも図星過ぎた。

　その慌てようを見るたび彼女は腹を抱えながら笑った。先程までの緊張した面持ちはなんだったのだろうか。周りの迷惑にならないように声を抑えて笑っているのは成長を感じる。

「あー、久しぶりにこんな笑った」

天真爛漫に笑う彼女を見れてよかったと思う反面、羞恥心が湧き出てくる。

「……変わってないのな」

そう、悪態をつくように呟いた。変わらなく、意地悪だ。