【和/泉/三/月】3日後の行方【ア/イ/ナ/ナ】 (ページ4)

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三月に呆れられたが、また宿題の続きをすることになった。何気なくカーテンを引いて窓から外を見ると、雪が降っている。さらさらと降り始めたようだ。どんよりとした灰色の雲が空を覆い、大きめの粒の雪が降っている。
　今日は何日だっけ、とスマホを覗くと一月の中旬だった。雪は降ってもおかしくないが、積もられると困る。ローファーで来たので滑るし、雪がローファーに入り込んで気持ち悪い感触が足を包むだろう。

　帰りのことを想像して嫌悪感を抱きつつ、勉強を再開しようとする。全然分からないけれど。そういや、一月ということは、大学を目指す人は受験勉強を頑張り、就職をする人は就活を始める頃だ。私はといえば、大学に入る良いおつむは無いし、何かずば抜けて良いものはない。

あぁ、これから私どうしよう。
そんなことを考える。勉強のためのシャーペンは落書きに走った。

「あーあ、卒業したら養ってよ」

考えなしに話す。数字を前にすると頭が全く働かない。

「あのなぁ……」

またお説教ですか。冗談が通じないなぁ。まぁ、七割方本気だけれど。

「帰ってきて私がいたらって想像してみ？」

　ノートの上のシャーペンの先に描かれた兎は怠そうな顔をしている。私もそんな顔をしているのだろう。入っている炬燵の温さが眠気へと誘ってくる。来るものは拒まない主義なので(面倒くさいやつは拒むが)寝てしまおうか。

「どう？いいでしょ？」

炬燵の中の足で向こうの足をちょいと突く。こういうのちょっと楽しい。

「家にお前がいたら邪魔でしかない」

向こうからも突きがきた。私のスネに優しく当たる。そこからお互い楽しくなって対戦のようになった。ヒートアップして、五分ほど小学生のようにはしゃいだ。三月も、いつもは世話焼きで大人っぽく振る舞っているが、本当は子供っぽいところもある。

　すると足音が聞こえてきて、三月の弟がはしゃいでいる私達を見下ろす。

「あの、うるさいんですけど」

兄とは変わってクールな一織は確か、受験勉強をしていたはずだ。確かに騒ぎ過ぎたので二人で謝る。受験勉強の邪魔になるというのなら謝る他ない。

「そんなに二人ではしゃぐなんてかわい……ゴホン」
「年上なのに子供っぽいですね」

今、絶対可愛いって言いかけた。可愛いって言いかけただろ。