【和/泉/三/月】3日後の行方【ア/イ/ナ/ナ】 (ページ3)

今日:12 hit、昨日:1 hit、合計:28,977 hit

#2 ページ3

今日は放課後に宿題を一緒にした。授業は眠いので大体聞いていない私に内容を教えてくれるのだ。神だ。いや、彼の風貌的には天使だと思う。そんな彼のおかげでテストの赤点をギリギリ取らずに生活できているのだ。

「ほらー、さっきの公式使えって、新しい公式作んな」

「えー、型にはまらずに生きてこう？」

「いやそれだと答えが間違ってんだって」

　今は彼の家のリビングで教えてもらっている。弟くんは自分の部屋で勉強しているようだった。なんとなく、気を使っているのだと察した。
そう、こんなに三月が私に優しくしてくれる理由は知っている。少なくとも私と、彼の弟は。でもなかなかそういう雰囲気にはならない。向こうからは何も言ってくれないのだ。

　私が問題を解いている間に自分の宿題をする彼を見つめる。
むむ、とシャーペンの上端を顎に当てている。悩んでいるようだ。伏し目がちに悩む三月は女の子のように可愛らしい。いつものことだが。

　一分ほど私の視線に気づかず考えている。なんだかつまらない。折角友達の家に来たので話をしたかった。やっていた数学は飽きて、あくびがでる。

「あ、それノルマンディー上陸作戦だよ」

世界史をやっているようなので、適当に単語を並べた。その作戦の名前は知っているがどういうものかは知らん。忘れた。

「え、十字軍関係してんの？」

きょとんとした顔に笑う。冗談だと伝えると、彼は呆れて笑った。