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それからはちゃんと地面を見るようにして歩いた。その間にちゃんと雪が溶けたアスファルトが見える場所についた。やっと話ができるような足場につく。
「あのね、進路がまだ納得いってなくて」
RPGのように狭い歩道を縦列になって歩く。私が先頭ということは勇者だな、なんてくだらないことを一瞬考えたが、道が広くなったので横列になる。
「絵は好きだけどさ、仕事には出来ないよなって思うんだよ」
トボトボと歩く。冬なので日が落ちるのが早く、すでに夜の色が空に浮かんでいた。寂しくもなるな深い青。寒い中であの色を見るとこんな感傷的な雰囲気になるのはなんでだろう。
「普通の会社員になるのかな、私」
「堅実だけど、そんなの夢が無いよね」
はぁ、とため息をつくと、白い息が空に上がっていく。夜になりかけて余計寒くなり、鼻と耳が寒くて痛い。寒さと悲しさに顔を歪めようとするが、隣に三月が居たのを思い出して小さな笑顔を作った。
「そっか」
隣で相槌を打つ彼と目が合う。またその目を見ると、見透かされているような感じがしていたたまれなくなる。
「あのさ」
すると三月の手が私の頬をサラリとかすめる。私の髪の毛が耳にかけられ、顔をじっと見つめられた。思わず目を逸らす。
「……今は無理して笑わなくていいんじゃないか」
優しい声。
「泣いてもいいよ」
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なつめみく - 三月結婚しよう。 (9月28日 17時) (レス) id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2018年11月30日 18時