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インターホンのベルが二回鳴る。うめき声を上げ瞼を開くと、目の前には床があった。寝ている間にどうやらベッドの上から落ちてしまったようだ。そのせいで寝違えたのだろう、軽く首にチクリと痛みが走る。ポキポキ、と首から音がなった。ひとつ欠伸をして立ち上がる。
ピンポン、ピンポーン。目覚まし時計のように耳を劈くうるさい音量。懲りずに何度も鳴らす玄関前の人物に苛立ちを覚える。
「もー、ちょっと待って」
インターホンにそう応えると、学校へと行く準備を始める。身に纏おうとするセーラー服の噛み合わないボタンと、空腹による胃の悲鳴が余計に私を苛立たせた。その間にもBGMのようにインターホンは鳴っている。
スカートのチャックをしめ、ローテーブルの上に無造作に置かれたバッグを持つ。
寝癖だらけの髪をほどほどに整えると、外へと飛び出した。
そこには、いつものように幼馴染がいる。
「はぁ、遅い。昨日もまた夜更ししたろ」
オレンジ色の髪に同じ色の大きな目。高校生男子にしては小さい背丈。女の子のような可愛さを持つ彼は、今朝もぷりぷりと怒っている。そこには威厳もなく、怖さもない。
「でもあんな鳴らさなくてもいいよね?」
私も苛立ちを放出するように文句を言うと、
彼は呆れたような表情を見せた。
「あれぐらいしないと起きてこないし」
「お前の両親代わりにやってんの」
そう言って歩き始めた彼のあとをついていく。
私の両親の仕事は朝が早いので幼馴染の三月と一緒に登校している。彼とは幼稚園、小学校と近所に住んでいて仲が良かった。中学校は私の親の都合で引っ越したものの、また彼の近所で暮らすことになり、こうして再会したのだ。
横に並び、彼の顔色をチラリと窺ってみる。まだ怒っているようだが、先程より表情は緩んでいた。じーっと見ているのがバレたのか、彼は怪訝な顔でこちらを見返してくる。
「……何?」
「いや、今日もお疲れさまだなあ、と」
「誰のせいだよ」
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なつめみく - 三月結婚しよう。 (9月28日 17時) (レス) id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2018年11月30日 18時