【d!】キャバ嬢のお話Ⅱ (ページ4)

今日:15 hit、昨日:16 hit、合計:8,187 hit

3 ページ4

「今度そっち行くイベント
あるんだけど同伴してほしいなぁ」

本名を教えてもらって以来何かと理由をつけて電話をしている。まあ頻度多すぎたら嫌われかねんから 1ヶ月に1回で我慢してるけどね。

「おーいいねぇ
私もらだおくんに会いたいから嬉しいなぁ」

ほんっと口が上手いんだよなぁこのキャバ嬢。

「ははは俺も嬉しーあ、Aさんさぁ…」

「んー？なにー？」

名前、呼んでんだよなぁ俺。
ダメだニヤニヤしちゃうわこれ。

「あーうん、仕事はどんな？」

「最近ちょっと閑古鳥鳴いてるかもー」

彼女の名前を呼べて、そんで話ができて、
めちゃくちゃ嬉しすぎる。

「へーそかそか。
なら俺がんばっちゃおっかなぁ」

「はははそういうのはいーよらだおくん
仕事してる私に会いに来てくれるだけで嬉しいから
気持ちだけ受け取っとくね」

彼女が初めて会った時にも言っていた"お店の外で会おうとする人"に類似する言葉を聞くと自分はそうはならないでおこうと思う反面我々のメンバーは仕事をしてない彼女と理由も意味もなく会えてしまうのかと思うと羨ましい気持ちもある

「じゃあAさんがこっちに旅行でも来たらその時に
盛大に頑張らせてもらおっかなぁ」

だからこそ俺と彼女の秘密に縋ってしまう。
頻繁に名前を呼び自分が呼んでいる事実を実感したいし
彼女に伝わって欲しいとさえ思う。

「えっらだおくんと旅行デート
めっちゃ楽しそうじゃん行きたい」

「じゃあ今度こっち来る時教えて
俺の予定全部Aさんにあげるよ」

どこまでが本音でどこからが彼女の
リップサービスなのか俺にはさっぱりだから
どちらとも取れる自分が傷つかないで済む
妥当な答えを返してしまう。

「へへっ贅沢だなぁ
そっち行く時は必ず声かけさせてもらうね」

「ははっ楽しみにしとこーっと」

実現しないであろう彼女との旅行デートに
思いを馳せる俺ってやっぱキモいなぁ。