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○おはよう ページ2








『おーい、朝だよ。』



起きて起きてっ、と布団の上からバシバシと叩く。それだけじゃ起きないのはよく知っている。だから今度は布団を剥いで「朝ですよ〜」と言ってみる。…ま、起きないよね。


すぴー、と何とも可愛らしい寝息を立てて眠るその寝顔に私の頰が緩んでいく。



『至くん朝だよ、起きて。』



ちゅ、と唇の端にキスをする。唇にしなかったのはわざと。忽ちゆるゆると瞼が空いて、あんまり状況を把握できていない至くんが寝起き特有の掠れた声で「なに、いまの…」と呟いた。



『おはようのキス?』


「…ごちそうさまです。」


『あっこら!』



再び布団の中に隠れてしまいそうになるところを間一髪のところで止めれば、至くんは仕方ないなあと言った様子で渋々と体を起こす。毎朝寝起きの悪い彼氏を起こす私の身にもなってほしいんだけどなぁ。


おはよう、と言おうとしたところでふにりと柔らかな感触が唇に触れる。すごく柔らかいパンケーキを食べたような、そんな感じ。



「…明日はここにして?そしたらちゃんと起きれる気がする。」


『考えとくね。』


「んじゃ、もう一回。」


『ちょっと、…んむ……』



再び触れた唇はさっきよりも熱くて、溶けてしまいそう。仕上げと言わんばかりにべろりと唇を舐められ、朝にしてはちょっぴり刺激的なキス。さっきまであんな気持ちよさそうに眠ってたのに。



『至くん、仕事!』


「わかった、って言うまでやめない。」


『…わ、わかった、から。』


「いーこ。」



ふ、と綺麗に笑った至くんがようやく解放してくれる。それから「おはよ。」ととびっきり甘い笑顔をくれるから朝から胸がキュンと締め付けられた。






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作者名:しあ | 作成日時:2019年9月9日 1時

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