○１５ ページ16
・
・
「……………………ちょっと待って。」
散々溜めて出た言葉がそれなのか。手で顔を覆った至くんが、もう片方の掌を私の顔の前に差し出す。隣にいる男の人や、私の後ろに並んでいる女の子たちが不思議そうに至くんと私を交互に見ている。
「……なんでAちゃんがここにいるの？」
『えっと、それは私の台詞でもあるんだけど…』
「列止まってますけど、どうかしましたか？」
「あ、監督先生！なんか、至サンが…」
「ん？…って、あの時のお姉さんじゃないですか！」
「え？」
『あっ！』
「来てくれたんですね！しかも物販まで！何か問題でもありましたか！？」
『あ、いえ…何も。』
「じゃあ、こっちで受け付けますよー！」
『あ、あ、ありがとうございます…』
大丈夫かな、至くん。放心状態というか、今起こっている状況を把握できてないような気がするけど。これ以上列を止めるのも申し訳ないと思って、スーパーのお姉さんに言われた通り、別の男の子が売り子をしているところへ向かった。
「ありがとうございます！」
結局パンフレットと、記念に皇天馬くんのブロマイドまで買ってしまった………。人はこうして沼に落ちていくんだろう。
さて、まだ公演まで時間があるんだよな。どうしよう。そう思って、再び辺りをきょろきょろと見回していたら、さっきの女性が手を振ってくれた。
「来てくれて嬉しいです！」
『あ、覚えててくれたんですね。私のこと。』
「当たり前じゃないですかー！絆創膏もありがとうございました！」
『いえいえ。もらったフライヤーを見てたら、気になって、その日のうちにチケット買っちゃったんですよ。』
「そうなんですね！グッズの感じからだと…天馬くんのファンなんですか？」
『…ファンというか、かっこいいなーってずっと思ってて。』
「天馬くん喜ぶだろうなあ。」
「…監督さん、ちょっと俺抜けていい？」
「あ、至さん。え？具合でも悪いんですか？」
「あー…いや、そうじゃないんだけど…」
・
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 263人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しあ(プロフ) - さわださん» さわだちゃんありがとう〜(T_T)そう言ってもらえてなによりです、、わたしもさわだちゃんの作品楽しみにしてるので、無理しない程度に更新頑張ってね、、！ (2019年9月7日 8時) (
レス) id: 57235b7de0 (このIDを非表示/違反報告)
さわだ(プロフ) - しあちゃん完結お疲れ様でした…！更新が本当に楽しみで、最初から最後まで素敵なお話でした（＾ν＾）私も頑張ろうって思えた！しあちゃんの作品の至さんが大好きです。そして何より、しあちゃんの作品が大好きです！ (2019年9月6日 11時) (レス) id: d1a285d656 (このIDを非表示/違反報告)
しあ(プロフ) - うさぎさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます…！楽しんでいただけているようで幸いです！これからもゆるゆる活動ですが見守っていただけたらと思います…！コメントありがとうございました！ (2019年7月31日 10時) (レス) id: 57235b7de0 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ(プロフ) - 久しぶりにこんなに素敵な小説に出会えましたっ！！更新楽しみにしてます！頑張ってください！ (2019年7月30日 7時) (レス) id: ebaf376ead (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しあ | 作成日時：2019年7月16日 16時
