綺麗な花に棘がある。【茅ヶ崎至】 (ページ46)

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「ただいま帰りました！」

「おー…咲也おかえ…………え、なんで？」

『…ど、どうも…』

「なんで、弓原がここに？」

咲也くんの声に、通りすがりの茅ヶ崎さんが出迎えてくれる。と、思ったが、私の姿を見てすぐさま動揺の色に変わった。まぁ、そうだよね。突然私が来たら誰でも驚くよね。

「どうしたんすか、至さん。」

「あ、いや…」

「咲也おかえり。遅かったな。」

「外で発声練習してたんだ。」

「ふーん。おつ。……って、Aさんじゃないっすか」

『や、やぁ(？)』

私にも声をかけてくれた万里くんに、更に茅ヶ崎さんは驚いているようで、「とりあえず入れば？」と顔は笑っていたけど、目が笑っていない気がして。私もとりあえずへらりと笑ってお邪魔することにした。

「咲也が、弓原を連れてきたのはわかった。けど、いつの間に万里と仲良くなったの？」

「万里くんと俺と3人でお茶したんだよ。」

「は！？何故。」

『…いや。まぁ、色々ありまして……』

「色々…？」

「お喋りもいいですけど、ちゃっちゃとご飯食べちゃってくださいねー。」

質問攻めの茅ヶ崎さんに困っていると、監督さんが助け舟を出してくれる。あんまり納得いってそうにしつつも、監督さんの言うことをちゃんと聞いている茅ヶ崎さんはなんかちょっと面白かった。

『ご馳走様でした！美味しかったです。』

「いえいえ！よかったら、今日は泊まっていきませんか？」

『え、いや…さすがに泊まるのは……』

「ご飯だけっていうのも寂しいですし、寝るところなら私が使っている部屋ならスペースあるので！」

『えー……っと……』

咲也くんといい、監督さんといい、どうも有無を言わさない感じだなあ。うーん、と返答に困りながらも、ちらっと茅ヶ崎さんがいるソファへ視線を動かせば、相変わらずゲームをしている。こういう時に頼りにならないなぁ、もう。

「何の話？」

「あ、千景さん！Aさん、泊まっていかないかなあと。」

『さすがに迷惑ですよね？前にも一度お世話になってますし、』

「いいんじゃない？もう外暗いし、朝もここから会社行った方が近いだろ。」

『え』

「なら決まりですね！着替えは後で私のを用意しますので！」

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