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再びの王子様スマイルに、うっとりとした美咲がコクコクと頷いた。榎本さんに至っては、何が起きているのかわからない様子で開いた口が塞がらない状態だ。
「じゃあ、俺は“A”を連れて帰るから。」
「わ、わかりました……。A、また連絡するから、詳しく話聞かせてね!?」
『う、うん……』
今度は目をギラギラとさせて、私の肩をポンポンと叩いた美咲が、合コンの席へ戻っていく。相変わらずポカンとしている榎本さんに、申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。
「……えっと……じゃあ、ね。弓原さん…」
『あっ、はい。』
フラフラと美咲の後を追っていく榎本さんを心配に思い、二人の姿が見えなくなってどっと肩の力が抜けた。……なんだったんだ、今の茶番は…………。
「…まさか、本当に合コンとは……」
『……見てわかると思いますけど、美咲に無理やり連れてこられただけですから…』
「あっそ。」
『あっそって…………てか!あんな適当なこと言ってよかったんですか!?』
「何が。」
『何がって、私の彼氏って……ど、どうしよう!この後、美咲になんて説明すれば……』
「しょうがないだろ。あの状況から抜け出すにはそうするしかなかったんだから。それに、お前も困ってたように見えたけど。」
『…困ってたというか……帰ろうとしてたんです。やっぱり、ああいうところは慣れないから……なのに、先輩がややこしくするから……』
「一応助けたつもりなんだけど?」
『えぇ…どこが………』
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作者名:しあ | 作成日時:2019年6月27日 22時