綺麗な花に棘がある。【茅ヶ崎至】 (ページ33)

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さっきの女性社員の人には悪いけど、今絶対嫌って言ったよね………。ニコニコと何を考えているのかわからない表情を浮かべた卯木さん。

この人に相談したのが間違いだった。NOと言える人に相談したところで、わかってくれるわけがない。

「乗り気じゃないなら適当な話合わせて飯だけ食って帰って来ればいいじゃない？」

『…ですね。そうします。』

いつの間にかうどんを食べ終えていた卯木さんが、おぼんを持って立ち上がった。結局ほしい答えは帰ってこなかったけどお昼奢ってもらえたし、まいっかあ。

「…それと。お前が嫌だって断っただけでお前のことを嫌いになる人はいないと思うよ。」

『…………』

「嫌われたらそこまでの関係ってことで、もう関わらなくていいと思う。俺はそうしてるから。」

じゃ、合コン頑張れ。とひらりと手を振って歩いて行ってしまった卯木さんの背中を見つめる。

いいことを言ってるんだろうけど、未だに私の名前をちゃんと呼んでくれないのが気になってしまった…………。

ま、一応感謝しておこっと。

食堂の時計を見れば、お昼休みはあと30分で終わる時間だった。結局先輩に話すようなことではないことまで話しちゃった気がするけど………。

「……はぁ。」

ため息をついていても仕方がない。半分以上も残っている親子丼を半ばかき込むように口の中に入れて、急いで自分の部署へ戻った。

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