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「……あの…めちゃくちゃ言いづらいんだけど、徹夜でゲームしてただけなんだよね。」
『……………………』
「……………………」
『はぁ！？』
「あ、いや、」
『仕事のせいじゃないんですか！？』
「…うん。完全に俺のせいだね。」
『……何それ………私、怒られ損？じゃあ、体調悪いとかじゃないんですね？』
「全然。倒れたのも、多分眠気に勝てなかっただけだと思う。」
『もう〜〜〜…』
はぁ〜〜〜、と気が抜けたようにベッドへ上半身を倒した弓原の頭に手を置いてふわふわと撫でれば、ふて腐れたような顔をするから。
「………ごめんなさい。」
『…元気ならいいです。』
「ワイシャツ、クリーニング代出すから。」
『それくらいいいです。』
「……なにすれば許してくれるの？」
『別に怒ってないですけど。』
「(ばりばり怒ってるじゃん。)」
『とにかく、ゲームのしすぎには気をつけてくださいね。課長には疲労って伝えておきますから。』
「…うん、ありがと。」
『まったく……心配して損しました。』
「心配してくれたんだ。」
『当たり前じゃないですか。』
やけに真剣な顔にドキッとしてしまう。…って、何を考えてるんだろう。俺は。ふ、と蘇ったのはあの日のホテルの出来事だった。
水に流すって言ってたんだから、思い出すな、俺。ぶんぶんと頭を振っていたら、弓原は怪訝そうに俺を見つめた。
『…まぁ、ここ最近先輩にはずっと迷惑かけてましたし…これでプラマイゼロにしましょ。』
「………納得はいかないけど。」
『そこは納得してください！』
こいつはただの後輩で、俺たちはただの会社の同僚。それ以上でも以下でもない。この先、それが変わることもないって、その時はそう思い込んでいた。
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作者名：しあ | 作成日時：2019年6月27日 22時
