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「……ゔ……ん？」
ぼやっとした視界。目頭をぎゅっと押して、自分が今、どこにいるのかを把握するために体を起こす。……ベッド………。
「…仮眠室か、ここ。」
『あ、起きました？』
「なんで？」
『なんで、じゃないですよ。給湯室で倒れたの覚えてないですか？』
「……俺倒れたの？」
『そうですよ！私に寄りかかったまま起き上がらないし、大変だったんですから…』
「…で、何でお前はここに？」
『先輩が倒れた拍子にコーヒーこぼして、ワイシャツ汚れたんですよ。今乾燥機で乾かし中です。』
「そのジャージは？」
『会社のです。……もう、しっかりしてくださいよ。先輩！』
「ご、ごめん……。火傷とか、」
『してないです。』
よかった……とホッとして、自分の髪をくしゃりと撫でつける。ベッドの近くにあった椅子に座った弓原が、やけに真剣な顔をするから、自然と背筋が伸びる。な、なんだ？
『先輩、体調が悪いなら言ってください。私は役に立たないかもしれないですけど…ちょっとくらいなら手伝えます。』
「……………」
『聞いてますか？』
「あ、うん。」
『…茅ヶ崎さんにはお世話になってるし、残業だって高確率で手伝ってもらってます。だから今回倒れたのは、私のことも負担になってたんじゃないかって思って。』
課長に怒られたんですよ。って、眉を下げて申し訳なさそうにそう言うから、俺の方が申し訳ない気持ちになる。
………多分、あれも倒れたんじゃなくて眠気に負けて寝落ちしたって感じだし………。
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作者名：しあ | 作成日時：2019年6月27日 22時
