綺麗な花に棘がある。【茅ヶ崎至】 (ページ24)

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「茅ヶ崎さん、おはようございま～す！」

甘ったるい声が社内に響く。相変わらずだな、と思いながら自分のデスクへ向かおうとしたら、さっそく井原さんに声をかけられた。この人も相変わらずだな。

「で、今日の夜ご飯でもどう？」

『あー、えっと…』

「弓原ぁー！ちょっとこっち来てー！」

『あっ、はーい！すみません。』

上司から呼ばれて、井原さんから離れる。なんか申し訳ないなと思いつつも、正直なところ助かった……。ホッと胸を撫で下ろして、呼ばれた上司の元へ小走りで行けば、先週提出した書類のチェックだった。

「今週は定時で帰れるようにね。」

『はい…善処します。』

「それと…井原くんのことだけど。嫌なら嫌ってちゃんと言わないと駄目よ？」

『えっ』

「随分と言い寄られてるみたいだから。」

『……あー…はは。』

「井原くんも井原くんで、相手にされないってわかってるなら諦めればいいのにねえ。昔っから諦め悪いのよ、あの子。」

『それはよくわかってます……。桜井さん、井原さんのことよく知ってるんですね。』

「まぁ、彼が新人だっだ頃はよく面倒見てあげてたからね。あんたにとっての茅ヶ崎くんみたいな感じ？」

『はー…なるほど。』

「…それで、ここだけの話なんだけどさ。」

『はい？』

ちょいちょいと手招きをされ、桜井さんに近づくと、小さな声で「あんた、茅ヶ崎くんと付き合ってるの？」と。またこの話かっ！？！？！！？
そういえば、この前、桜井さんにキスマークのことも注意されたんだっけ…………。

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