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『…あの、私も手伝います…』
「お客さんですし、いいですよ〜!ゆっくり寛いでいてください!」
『いやあ…さすがに何から何まで申し訳ないというか…何か私にできることがあれば…』
「じゃあ、お言葉に甘えて手伝ってもらおうかな…お皿拭いていってもらってもいいですか?」
『了解ですっ!』
人当たりの良い笑顔を向けてくれる監督さんは、立花いづみさんという名前らしい。
綺麗な雰囲気によく合った名前だなあ。と思いつつも、こんな大所帯で監督をやりつつも、劇団員の面倒を見るのは大変そうだとしみじみ思う。
こんな男だらけの場所、私だったらむさくて2日で出て行くな。うん。
「ありがとうございました!助かりました!」
『いえ、お手伝いできてよかったです。』
綺麗ににっこりと笑った立花さんに癒されつつ、あんまり長居するのもよくないなと思って先輩の姿を探す。
…談話室にはいない。部屋に戻ったのかなと思って、先輩の部屋まで行こうと思ったが。
『うん、わからん。』
「Aさん、どうかしましたか?」
『ええっと…咲也くんだっけ?』
「はい!花が咲くの咲也です!」
ぱああぁっとお花が咲いたように笑う彼、咲也くん。汚れた大人にはちょっと眩しすぎるんだなと心の中で拝んでおこうとそっと目を閉じる。
「?」
『…あ、そうだ。茅ヶ崎さんの部屋ってどこかわかる?』
「至さんの部屋なら、真っ直ぐ歩いて左にあります!103号室です!」
『103ね!ありがとう。』
はいっ!と、今度はマシュマロみたいにふわっふわに笑うから心がHAPPYになった(?)
いいな。私の家にも咲也くんがほしい。そんなよくわからないことを考えながら、先輩の部屋の前。コンコンとノックをしても返事は聞こえてこない。いないのかな。
もう一度ノックをすれば、「どうぞ〜〜」と何とも気の抜けた声が聞こえた。
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作者名:しあ | 作成日時:2019年6月27日 22時