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あの日の夜 ページ14

志摩さんに電話をかける伊吹。



志摩『なんだ。』



伊吹「事故だった。香坂の手紙も読んだ。」



志摩『___なんだほんとに調べたのか。』



伊吹「あったりめぇよ!!俺は有言実行の藍ちゃんなんだよー。」



それは初めて知った。



伊吹「でも、1個だけわかんなくてさー。なぁ志摩。生きてる香坂に最後にあったのはいつ?志摩はそん時、なんて声かけたの?調べても、そこはわかんなかったー。」



志摩『___降参か?』



伊吹「こーさーん!フフッ。教えて?」



志摩『最後は…………あいつが肩を落としてあの手紙を書いてた時。それから……あのビルの屋上。』



「……」


伊吹「あの夜……屋上行ったの?」



志摩『__行かなかった。俺はどっちにも行かなかった。』



隣に座っていた伊吹がその言葉で立ち上がる



志摩『チャンスはあった。何度も。だけど声をかけなかった。いつの間にか帰ったあいつがメールしてきて、"うちの屋上で飲みませんか?志摩さんの好きな酒買って待ってます。"って。こっちは始末書書いてんのにふざけんな。何が"飲もう"だ……!無視した。』



志摩『あれから何度も、何度も何度も何度もなんっども頭に中で繰り返す。あの時声かけていたら、あの時屋上に行ってたら、もっと前俺があいつの異変に気づいていたら。』



志摩『スイッチはいくらでもあった。だけど現実の俺はそれを全部見過ごした。見ないふりした。俺があいつに、最後にかけた言葉は、"進退は自分で決めろ"だった。』



志摩さんのその言葉と共に6年前の記憶が鮮明に浮き上がってくる



志摩『事故??俺はそうは思えない。悔いても悔いても時間は戻らない。』



伊吹「__志摩。香坂が死んだのって2013年のタコの日の深夜2時頃だよな?」



志摩『タコ??』



伊吹「あぁ……!!」


「ちょ!?」



伊吹が急に階段を下りたので私もそれについて行く。



《ズルッ》



伊吹が足を滑らせ、香坂さんが落下したところギリギリで止まった。



「い、伊吹!?!?」


伊吹「あ……っ……!!あーぶねぇええ!!」


「気をつけろ……!」


伊吹「香坂ちゃん。サンキューなー。」



そう言って伊吹はまた走り出した。



「説明しろよ!!!」

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作者名:みく | 作成日時:2020年9月3日 19時

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