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n.
「 …は？」
誰ですか？って？
「 な、がせれん、やで？
きんぷりの、永瀬廉。」
声が震える。
海人の手を握ってる手も、どうしようもなく震える。
「 おぼえて、ないん？」
そう聞くと、海人は少し苦しそうに顔を歪めた後、
黙り込んでしまった。
「 と、とりあえずナースコール！」
病室に異様な空気が漂う。
「 …記憶喪失、なの？」
「 いや、ま、まだわかんないから。な？
よくあるじゃん、
目覚ましたばっかりで記憶が混濁してる、とか。」
優太が声を震わせながら前向きなこと言う。
そう、そうやんな。
今はちょっと混乱してるだけ。そう。だから。
「 目を覚ましましたか…！」
医者が入ってきて、海人のあちこちを診て、
数個質問してから俺たちを別室に呼び出した。
.
「 高橋さんの意識はハッキリしていて、
おそらくこのまま回復に向かうと思われます。
ただ、記憶に混乱が生じていて、
今はご自身のことも何もかも覚えていない状態です。
意識の混濁は見られないため、
記憶障害と診断してもいいかと思われます。
ただ、一過性のものか、
長期的なもかはまだ断定はできません。
明日になれば全て思い出しているかもしれない。
永遠に思い出せないかもしれない。
本当にわからないんです。
それと…、まだ可能性の段階ですが、
おそらく高橋さんはもう少し別のパターンで
記憶に障害が残っていると思われます。
例えば、新しいものが覚えづらい、
記憶を引き出す能力が欠如している、など。
…とりあえず、明日また診察します。
その時に正式に診断しますので。」
一気に、早口で、そう言われた。
記憶喪失。
せっかく海人が目を覚ましたのに。
なんで、なんでなん？？
.
続く (更新停止中)
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作者名：てぃの | 作成日時：2019年8月26日 17時
