前途多難な同級生【呪術廻戦】

前途多難【20】 ページ21

・




彼が優しい人で、フラれたあとも今まで通りに接してくれたとしても、心の奥底で気を遣わせてしまうに決まっている。

それなら何も言わない方がいい。
お互いの、最善策だ。



夏油くんと硝子は暫く黙っていたが、やがて硝子がため息をついて私の元にやってくる。

そして何も言わずに私を抱きしめた。



「私からはもうなんも言わない。でも、A。任務で怪我して、1番辛いのはAじゃない」

『……』

「今、Aの事を止められなかった私達だ」



残される者の気持ちも知らず勝手に逝ってしまう術師を何人も見送ってきた。
さよならも、愛してるも、ごめんねも言えず、骨の1本残らないで、帰ることも出来なくなった人も居た。



「A」

『なに？』

「Aは、悟にフラれる未来しか見てないけど、そんなに自分は望み薄いと思ってるのかい？」

『……うん、まぁ』



だって相手は天下の五条悟だし。
彼のタイプは自分に尽くしてくれる美女だ。絶対そうだ。もしくは守りたくなるような可愛い子。最近連ドラで注目を浴び始めたあの子なんか、絶対タイプ。



『五条くんの相手に求めるステータスって富士山より高そうじゃん』

「それは否めないけど、実際はそんな事ないと思う。……案外、近くにいるよ」




・

前途多難【21】→←前途多難【19】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す