ep304 ページ30
その後色々な
検査を受け、特に
異常も見られなかった為、退院。
白石先生にも無事報告を済ませた。
私がした体験を、覚えている限り話すと…
初めて…白石先生の涙を見た。
白石「君が…無事戻れて… よかった。」
自分の身勝手な考えで、白石先生まで
苦しくめていた事を知った。
こうして、日常を取り戻した私達
当たり前の日々が、こんなにも幸せで
溢れている事を 初めて感じていた
アタシの記憶はというと…
凄く不思議で みんなとの日常生活は
しっかりと残っていたけど…
社員旅行でグアムに行ったらしい事は
全く覚えていなく…
広臣やタカ兄から聞いた黒崎という
名前にも、全く記憶がなかった
………
それから…2年という月日が経ち…
私達はMV撮影で西オーストラリアの
大自然にいた。
アタシもその撮影に、別の目的で
特別同行させてもらっていた。
今年は ハイブリッド日食とも言われる
金環と皆既日食が同時に起こる
船舶免許がある健ちゃんが運転する
クルーザーで撮影を行うので 好都合
金環.皆既日食に備えて
私は1人 みんなから離れた場所で
日食用のサングラスを着用して
カメラのスタンバイをする
徐々に形を変える太陽
月と太陽が重なる時間…
カメラに夢中になっていた私は
その気配を感じとれていなかった
スタンドに添えていただけの左手が
ふっと誰かの力で持ち上げられ
太陽のリングが
赤っぽい銅色になった瞬間…
そこに 左手が翳された。
……！！
驚きのあまり 後ろを見ると
広臣が立っていて…
広臣「タイム トラベル。」
「え……」
広臣「Aが忘れた記憶でも…
俺ん中には、ちゃんとあるから。」
…広臣はきっと すっぽりと抜けている
グアムでの記憶の事を言ってるんだろう
広臣「…どんな月も この先ずっと
一緒に見たい。 だから…
結婚しよう…。」
「…ぅそ… 広臣？」
広臣「嘘で こんな小っ恥ずかしい事…
できるかよ。 大マジだし。」
「……っ ぁりがとぅ。
広臣。
絶対、アタシの手…離さないでね。」
広臣「…どっちがだよ。
それ、俺のセリフな。」
「…ょろしく ぉ願ぃします。」
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2021年7月2日 19時
