ep296 臣 ページ22
彼女の容態は
変わらないまま
2ヶ月が過ぎ…俺とタカヒロさんだけ
退院が決まった。
退院前日
病院に頼み込んで最後の一夜を3人で
同じ部屋で過ごせるようにしてもらった
臣「一緒に退院…できなかったっすね」
TAKA「…ああ。」
臣「意識が戻ったら、直接聞こうって
思ってたんですけど、あの日。
俺の部屋でカメラを見つけた彼女は…
俺の気持ちが、嘘だったって思った
でしょうね。」
TAKA「…ウソだったとは…
言わなかったけど、自分を通して妹を
見ていた…とは思ったらしい。
お前の愛情は、自分ではなく妹へのモノ
だって…。俺は否定したけどね。」
「…やっぱり。彼女がウィッグをしなくなって、本来の姿になってからは…
正直もう、自分の気持ちもどっちへの
モノかなんて…わからなくなってました。」
TAKA「…一緒に過ごしてる1人の女
として…惹かれてたって事だろ。」
「…はい。どちらの人格とかじゃなく
もう…彼女自身が… っ
好きでした…。だから、彼女に
伝えた俺の気持ちは…嘘じゃなぃ。
妹の人格に会いたい気持ちと…今、隣にいる彼女を、失いたくない気持ちで…
ずっと、苦しくて…っ」
TAKA「……っ。泣くなあほ。
こっちまでつられるじゃねぇか…」
「…っ、すみませんっ…」
タカヒロさんが 俺につられた涙を
拭いながら、彼女の額を触り…
ピシッ！！
…！！
突然、デコピンしたかと思うと
TAKA「おい。今世紀最大の臣ちゃんの愛の告白、ちゃんと聞こえたか？」
「……」
TAKA「…やけん、言ったやろ？
俺の言う事は…間違いなか。
…お前は、ちゃんと愛されとった。
…よかったな。それがわかって、
満足したとやろ？ だからもう…
吏桜斗んとこに帰れ。」
タカヒロさんの言葉を聞きながら
俺の涙は止まらなくなった。
TAKA「おーい。吏桜斗ーっお前も、
性格が悪かね。本当は見てんやろ？
もう、たいがいコイツん子守りから
俺を解放してくれ。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 578人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひろみ
| 作成日時：2021年7月2日 19時
