ep79 ページ4
母「吏桜斗に悪いとか…
思わないで、まだ若いんだし
好きな人が出来たら、迷わず結婚して
幸せになってね。」
「……ゃ…私は……もう……」
母「お願いだから、もう恋なんてしない
なんて、言わないで。
吏桜斗だって、あなたに、幸せになって
ほしいってそう、思ってるはずよ。」
「………。」
母「アナタは…生きてる。人は
生きている限り…前に進める。
だから、亡くなった吏桜斗の分も
生きて…必ず幸せになって。」
「………っ…ぉかぁさん……」
母「あなたには…幸せになる
権利と 何より 時間があるのよ。
お願いだから…それを無駄には
しないと…約束して。」
「……はぃ……っ…
ありがとう……ございます。」
吏桜斗…
アナタは…この時
空でこの会話を
どんな顔をして聞いていたんだろう….
大切な人を亡くした人…
病気で苦しんでいる人…
そして…それを支えている人達…
悲しみや苦しみと戦っているのは
私だけじゃない。
私は今、生きていて…明日がくる
そんな事はわかってるけれど…
消化しきれない 想いが…
胸の奥底で 燻り続ける…
そして それを解決してくれるのは
時間だけということも…
身に染みて わかっていた…
私は、静かに腰を上げた。
「また…来ます。」
お母さんは、私に深くお辞儀をして
答えてくれた。
母「ありがとう。敬浩くんにも…
よろしく伝えて。」
「……はい。」
帰りの電車。
流れる景色を見ながら ゆっくり瞼を
閉じると…その瞼の重みとともに
一筋の涙が…頬をつたった……。
なんにもいらない
欲しいものも 何も望むこともない
ただ…もう一度、吏桜斗に会いたいよ
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作者名:ひろみ | 作成日時:2020年8月14日 8時