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ep86 ページ11

「…これが運命なら。
…か。凄く 素敵な曲だね。」









隆二「…ありがとう。…Aさんが
沢山の不安と葛藤を抱えてるのは…
知ってる。」









そう言って私の頭を そっと

包み込むように抱き寄せた…隆二くん








「………!!」









隆二「こうしたら…俺が

その傷を…全部




癒してあげれたら…いいのに…」









さっき音を奏でていた 美声が

切なげに優しい言葉を 告げるから

ぎゅぅ…って 心臓が苦しくなる…









隆二「力になりたいけど…俺じゃ…
力不足って事も…わかってるんだ。」









隆二くんの言葉に

何も返せなくて ただ必死に

首を横に振るしか できなかった









隆二「この曲は…Aさんの孤独と
俺の 孤独の両方が詰まってる。

Aさんが もし暗闇を1人で
歩いてて 道に迷ってる気持ちなら…

出口を照らす 光になりたいって
思うし、もしも、まだ癒えない悲しみで
いっぱいなら 簡単じゃないけど
せめてその悲しみに、俺が寄り添いたい
って…思う。」









「…りゅうじくん……っ。」









私の頭は 彼の胸に

抱えられたままで 表情は見えない









隆二「この曲は 俺からの エール。








好きだよ。…Aさん。」









そう言って ギュッと抱き寄せたまま

優しく 頭を撫でてくれた









……trr…trr…


隆二くんの電話が鳴って

ふっと身体が 軽くなると









隆二「タイムリミット。

仕事に戻らなきゃ…Aさんもか」









「…ずるぃ…こんな事されたら…




仕事になんなぃ…」









隆二「だって、俺の武器は 歌だから
強靭なライバルに立ち向かうには
フル活用しなきゃね。」









「…りゅぅじくん…」








隆二「って言っても…ライバルも
歌えるんだった…笑」









「…これは… 反則だよ。」









隆二「じゃあ。今日という一日が
俺でいっぱいになりますように♪
りゆーじっ! なーんてね♪


絶対、健ちゃんに怒られるな笑
ほら、もう行かないと。」









そう言って ちょっと照れながら

あのクシャッとした笑みを浮かべて

私をドア口まで 誘導した…








その日の私は…会社に戻ってからも

頭から 隆二くんの顔と声が離れず

言葉通り 彼でいっぱいの一日だった

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作者名:ひろみ | 作成日時:2020年8月14日 8時

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