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「お代は、後で
払いますから、…ね?お願い。」









『しゃーねぇなぁ。…高いよ?笑』









そう言って ベンチに腰かけ

月を見上げた後









ふっと 顔つきが









変わった。









その後 深く 息を吸って









ゆっくり 歌い始めた









〜♪♪ ♪♪ いったい どこから

……♪♪♪









甘くて 切ない歌声が…









アパートの鉄筋に 伝わって









エコーみたいに 響く









広臣の歌声が 夜空に









吸い込まれてくみたいだった









その歌の歌詞には








闇も 迷いも 希望も 光も

詰め込まれてるように感じた









ここに生まれて 生きる意味









広臣。









アタシは アナタに出会えた









その歌声を聴けただけで…









ここに 生まれた意味があったって









そう 思える。









「……っ。ありがとぅ。」









広臣の歌を聴きながら

涙が止まらなかった。









「これ。何て歌?」









『starting over 』









「…starting over。
…覚えて おくね。」









『…って、泣かす為に 歌った
わけじゃないんだけど…。』









「……っ。もぅっ…アタシには
涙より、笑顔が似合うって言った
くせに、泣かしてんの広臣じゃんっ」









『ぷっ笑 そっか』









「…そーだよ。」









『って、歌えって言ったのそっちだし』









「そっか笑」









『じゃあ…お客さん、お代
貰って いいすか?』









「……おぃくら…ですか?」









ふっと 香る 広臣の香り









耳元でさっき歌った声で









『今日。ここに泊まっていい?』









ドクン……って









心臓が 大きく動いた









アタシは 黙って









コクっと頷いた。

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作者名:ひろみ | 作成日時:2020年7月10日 17時

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