ブルームーンストーン4

198 omi ページ49

足音がドアの前で止まる

溢れ出す想いから、呼ばずにはいられなくて…









「A！」









『ダメっ…！…お願い。…来ないで。』









その言葉に、進む足が一瞬、止まる









再び足を進め ガラスの前に着く

その瞬間…







パタン… と閉めらたドア









それは、彼女の心のドアみたいだった

見えるようで 見えない。

近そうで 触れられない…

厚い壁がそこにあった









どうしても、触れたくて…

ガラスに手をピッタリとつけると









大きな瞳は…揺らぎながら…

そっと… 同じ位置へと 手を添えた









　 ズキッと胸が痛み









ガラスを蹴破りたいほどの衝動にかられる









大粒の涙が溢れ落ちるのを

隠すみたいに コツン…と寄せたおでこ









ごめん。 って謝るみたいに
俺も 同じ場所に 額を寄せる。









伝えたいのに、伝えられない想いが

胸の中で焦げ付いてしまいそうで

ガラスの向こうのAを 呼ぶ合図









ゆっくり顔を あげる彼女に

吸い寄せられ……








.







.







厚く透明な壁を挟んでの キス





.






.









俺は… オマエが好きだ…っ






.







その想いを 感情を 押し殺す。






.




ゆっくり離れた後…

向こうに見えたナオトさんの姿









呼ばれたであろう

その声の方向へ 歩き出した

Aの後ろ姿を 見送り









自然に流れ落ちる涙を そのまま




俺は静かにAの体温を

その指先と唇に 焼き付けた…

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