ブルームーンストーン4

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「あの…ナオトさん。ごめんなさい。腕を…」








言い掛けた私を見下ろす、ナオトさんの顔は、明らかに怒っていた。









『嫌だ。俺は、絶対離さない。』









「…！ナオト…さん？」









『Aを こんなに苦しめてる張本人を前に…離せるわけない。』









いま、この時に、こんなに息が苦しくなるのは、気持ちが痛いくらいに伝わってくるから…









だけど理由は それだけじゃない。









がんちゃんの時も そうだった…









私が、他の男に抱き締められているのに
独占欲が強かった臣が、何も言わない









本当は…その事が一番

こんなにも、私の胸を 切なくさせる









とっくに 壊れてしまったはずの臣への感情は…









まだ完全に壊れていなくて…
胸の底でずっと 燻り続けている…









どこまで 臣が好きなんだろう…私

自分で自分に呆れてしまう…









『A。しばらく、俺らのスタイリストを外れて、デザイナーとして、一緒に俺のブランドをやらないか？』









「え……。」









『幸い、昔と違って、今は任せられるスタイリストは沢山いる。新しい事に、挑戦してもいいと思う。そう、思わないか？臣。』









私を…抱きしめたまま
私の向こうへ問う ナオトさん









『…本人がいいなら、いんじゃないすか。』









引き留めてもらえるとも、思ってなかったけど、あっさり。









『どう？A。』









前に 進まなきゃ…









「…はい。よろしく…お願いします」









こうして、私は7年続けた

三代目のスタイリストを降りる事に

そして、私達の間には、また一つ分厚い壁が出来た

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