ブルー ムーンストーン 1

50 ページ50

『…………』









「……ぉみさん？」









『…お前さぁ。もっと、自分を…大事にしろよ。』









目を伏せ…呟くみたいに言った。









「…私は、いつだって、自分を大事にしてますよ。ずっと、臣さん以外、見えてないですから。」









『……こんなヤツの、何が、いいワケ？』









「気づいた時には、惹かれてたので、何がとか…わかりません。」









『………』









「でも…ふわっと笑う笑顔とか、時々見せる、寂しげに悩む顔も、声も、手も…目の下のセクシーなホクロも。実は優しい所も、臣さんの全部が、


…好きです…」









『…やっぱ変態だな。お前。』









「かもしれませんね。でも、本当に自分を大事にしなきゃいけないのは、臣さんの方じゃ…ないですか？」









『…！！』









例え今、あなたに乱暴に抱かれても、私はきっと…後悔しない。









後悔するとしたら…臣さんの方。









『ごめん、やっぱ俺、今日、酔ってるわ。』









臣さんの掠れた声が 聞こえた。









『今の事は、忘れろ。今日はもう、帰っていいから。』









“忘れろ”なんて…









あなたとの初めてのキスを
忘れられるはずなんて…ないのに。









「臣さんが、ちゃんと眠れたら、帰りますね。」









『ガキじゃねぇっつーの。』









その日、私は臣さんの寝顔を見届けて
そっと おでこにキスをして…帰った

この小説の続きへ→←49

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す