☆12 ページ38
まるで、そのときめきを、感じとられたようなタイミングで…
『A…』
幾度となく聞いてきたその声が…夢の世界を切り裂くように…私を、現実に…呼び戻す。
「…遼。」
『そいつ…誰？』
嫉妬で不機嫌、丸出しの顔で、感じ悪い下品な訊き方をする元カレ
ぱちっと目が合い…
固まっていると……
『行こう。』
岩田が、繋いでいた手を勢いよく引き、
つられて…ふわっと腰が浮いた。
ドアの方へ行きかけて…足が止まると…
突然、サングラスを、パッと下にずらし
『ご結婚おめでとーございます。アンタの見る目がなくて、助かりました！じゃ、失礼。』
そう言った後、“行くぞ”って…私の手を引いて…華やかなドレスの人の波を…かき分けた
『Aっ！！』
慌てたように、私の名を呼ぶその声を、背に一瞬…後ろを気にしてしまうと…
『…こんな腐った世界から、俺が連れ出してやるから、真っ直ぐ、前だけ見て走れ。行くぞ。』
「…岩田のくせに…カッコよすぎ。」
私は一瞬、振り返って
「遼っ、美希とお幸せにっ！！」
笑顔でそう言うと…
よくやったといわんばかりに、岩田が、満面の笑みで返してくれて…
背後から向けられる、沢山の視線を振りきるように、一気に、店の外まで駆け抜けた…
…さっきまでチープに見えた、田舎の街のネオンも、今は宝石みたいにキラキラして見える…
2人ともハァ、ハァと肩で息をしながら
『あの男の顔、サイコーだったな！今頃、逃したサカナはデカかったーって、情け無い顔で、後悔してっぞ。』
「…岩田。 ありがとう。」
『満足した？』
「うんっ！」
自分でも思った以上に、スッキリして、
勢いよく頷くと…
『俺がもっと、Aに眩しい世界を…
みせてあげる。』
ニコッて笑って…改めて差し出された…綺麗な手に、私の掌をそっと重ねて…
しっかり繋ぎ直すと…足早に歩き始める
『俺、Aの為なら…できない事、ないかもしれない。』
「…え……」
『あはは、ちょっと怖いか。でも…そんな気がする！』
「……」
見慣れた車の前で…立ち止まると
『……俺の事、ちょっとは…好きになった？』
.
「…岩田の手って…綺麗だよね。』
『…あ、はぐらかしたな。それは…よく言われる。』
「…否定しないし。」
『だって、本当によく言われるから』
なんて爽やかに彼が言うと嫌味じゃない
のが、不思議。
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ひろみ(プロフ) - みゆさん» 喜んでいただけて何よりです✨時間ある時、読んで下さい🥰 (2022年10月24日 16時) (
レス) id: 1c046313db (このIDを非表示/違反報告)
みゆ(プロフ) - short story大好きです！！パスワード解除ありがとうございます！！！またキュンキュンさせていただけて嬉しいです😊 (2022年10月24日 14時) (レス) @page49 id: 8bff029943 (このIDを非表示/違反報告)
ひろみ(プロフ) - Ks411113さん» ありがとーございます‼️ショートはあまり得意じゃないけど、また書く事もあるかもしれません😊臣ちゃんですね♪了解です✨ (2022年10月22日 22時) (レス) id: 1c046313db (このIDを非表示/違反報告)
Ks411113(プロフ) - shortstory大好きです！新作あったら嬉しいです！特に臣ちゃん希望です。Pale blueは何度読んでも涙だが出ます。 (2022年10月21日 23時) (レス) id: 009c65d6a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひろみ
| 作成日時：2021年6月26日 12時
