【d!】喜劇的レゾンデートル (ページ32)

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「それで、どうだったんだ」

「ぜーんぶ正直に話しとったよ」

「そうか。」

オスマンはそう言って、高級なティーカップを傾けた。その目は何処と無く悲しそうである。オスマンがこの場に呼ばれたのは、彼女の言葉が嘘か誠か確認する為だった。オスマンの観察眼は凄まじい。相手の嘘を瞳の動き、声の震え、仕草でわかってしまう。それ故に外交官という立場にいる訳だ。

「…あの子、自分の考えが薄いんやな。」

「…そうだな。

…だが、まだこの国の一員になってから2日しか経っていない。これから自分の考えを持ってもらうとしよう。好きな食べ物でも、嫌いな食べ物でも、得意な事も、不得意な事も、これから作ればいい。俺達が手助けしてやるんだ。」

そう言ってグルッペンは自信有りげに笑った。何時もの邪悪な笑みではなく、何かを愛でる時のような優しい笑みで。

「……随分とAちゃんにお熱みたいやけど、もしかして好きになっちゃったん？」

「はぁ？そんなこと無いに決まってるだろ。…強いて言うなら…まあ、なんだ。娘でも出来た気分だな。何も知らん箱入り娘みたいな。」

「ふーん…それええなあ。じゃ、俺も娘みたいに接したろかなー」

「…ふ、面倒な父親を持ったものだな。」

「ふふ、ほんまにな。」

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