【d!】喜劇的レゾンデートル (ページ16)

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「Aです。」

sha「え、それだけ？」

「…いえ…話せる様な事は無いので…。」

ここに来てからまだ半日しか経っていないし、好きな物も、嫌いな物も、やりたい事も、何が役割なのかも分からないし、知らないのだから。

gr「まあいい。本題に入るが、俺とAは契約を結んだ。」

「は？」

「勝手すぎひんか！？」

「…裏切るかどうかも分からへんのに？」

gr「機凱は契約相手を裏切ることはしないと聞いている。しかも話している特に危害を加えるようなことはしなかった。初めてシャオロンに話しかけられた時もだ。」

sha「俺が牢まで迎えに行ったんやけど、抵抗の意思は見えへんかったし、なんなら俺は総統室までこいつを担いで行ったで。」

それは私が無害であることの証明ではない気もするけど…。私が口を挟むのは違う気がして、口を噤んだ。私は発言した人の顔を見ることしか出来ない。

「機会を伺っているっちゅうことも充分有り得るんやぞ…。」

gr「Aと俺が契約できたということは、あの国の契約者との縁は切れているという事。だからAが忠誠を誓う国は此処だけということだ。まあ信用出来ないのも無理はないが、」

そこまで言ったところで、1人遅れた幹部が入ってきた。ロボロさんだ。全員の視線が扉側に集まった。

rb「遅れたわ…ってなんや内ゲバか？」

gr「ロボロ、お前の所の部下たちは、Aを見てどんな反応をしていた？」

閣下は歩いて自分の席に向かうロボロさんに、そう問いかけた。

rb「はぁ？業務に支障出るくらいは歓迎しとったぞ。」

自分の席の椅子を引きながらそう答えた。

「…やからといって、ロボロんとこの部下は機械オタクばっかやねんぞ。機凱ってだけで人が集まんのは当たり前やろ。」

rb「お前うちの部下のこと貶したか？」

「そういうことちゃうわ」

gr「…だが、Aが使える人材なことは確かだ。今は少し不調のようだが、調子が戻れば必ず国の為にいい働きをしてくれるだろう。」

「人材って…そいつは機械やぞ。」

確かに、私は機械で、機凱で、兵器で、ロボット。

gr「仲間なら機械だって人間だって同じだ。
俺は彼女のことを人間としてみているゾ。

兵器として見てやるな。兵器として生まれたからと言って、そんな名前で呼ばれては嬉しくないだろ。」

「…お前そんなに人間味に溢れた男やったか？」

gr「…どうでもええやろ。俺は差別が嫌いなだけだ。」

沈黙。

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