【d!】喜劇的レゾンデートル (ページ3)

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03. ページ3

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「起きとる？」

「はい」

「そ、おはよ」

「…おはようございます」

「ふうん、コミュニケーションは取れんねんな。」

「…当機は自律思考型ですので。」

「…急に機凱(マキナ)らしくなったな。」

「……コミュニケーションが取れようが取れまいが、機凱である事に変わりはありません。」

軽いノリで話しかけてくる男性。言葉を返していれば、男性はおもむろにカシャン、という音を立てて牢の鍵を開けた。その行動に私は驚く。私が攻撃して逃げ出すことを考えなかったのか。
それとも、何か私が暴れない確信でもあったのか。

「出て、俺に着いてき…って脚逝かれとるんやったっけ」

未だ火花の音を鳴らす脚を見やれば、茶髪の男性はそれを思い出したかのように口に出した。…すると、男はずかずかとこちらに近づいてきて、慣れたように私をひょいと持ち上げ、肩に担いだ。まるで米俵を担ぐかのように。私の頭上には疑問符が募っている。
警戒0で鍵を開けたのは、私の脚が壊れている事を知っていたからだったのか。

「…俺貧弱やからさ〜、あんま暴れんといてな」

「…そうは見えませんが」

「あはは、どうなんやろなあ」

…不思議な人だ、とは思いつつも、私は特に抵抗する訳でもなく担がれたままでいた。

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用語辞典

《機凱(マキナ)》

辞書等では機械ロボットの事を指すが、一般的には自律思考能力・性格・感情が備わった人型の高性能機械のことを指すことが多い。
非常に希少で価値が高い。機凱を造っているのは一人の人間であり、研究所を構えている。そこに唯一機凱を造れる博士がいる。
が、その博士も確実に造ろうと思って造れる訳では無く失敗も多い。造るのは非常に難しくレシピは非公開。1万機に1機程度。研究所では研究員が少ないため、完璧な機体は極稀にしか製造されない。そのため世界でも機凱を欲しがる国は多いと聞く。

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