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ジェノくんの話から突然私に向けられた言葉。
「特別」ってテイルさんが言い出したからそう言っただけ…じゃない。
初めて会ったときからなんとなく気になる存在だったのは確かだった。
大人ぶっていた私はそれを単なる気のせいにして誤魔化してたんだ。
『ジェノくんはとっくに私の中で特別になってた…んだと、思う』
ジェノくんの顔が見れなくて、私の手を握る大きな手を見ながら話す。
あの日ジェノくんが優しい顔で見てたあの人に、ジアさんになれたらって。きっとあの瞬間思ったはずなのに気づかないフリをした。
認めてしまったら急激にジェノくんに惹かれてしまうのが意識下で分かってたから、ヨンホに、ドンヒョクくんに指摘されてもそうでもないフリをした。
『ジェノくんにそう思ってもらえてるのも素直に嬉しいよ。でもね、』
私の手を握る手が少し強くなる。
『本当にジェノくんにとって私は特別になれるかな。少し不安だよ』
だってジアさんみたいに小さなころからジェノくんを知っているわけでもない。
まだ出会って数か月。
たった数か月で長い長い片想いを昇華できるわけがないことだってわかってる。
単に寂しくて悲しい気持ちが錯覚させてしまってるんじゃないかっていう漠然とした不安。
「…俺が突然こんな話したからですよね。すみません」
『ううん、ジェノくんが謝ることじゃないから』
「だけど、初めてなんです。ジアヌナ以外の誰かにこんなに心が揺れたの」
その言葉に顔をあげると、優しい目で私を見るジェノくんと視線が合った。
「初めは忘れたい気持ちもあったのは本当です。でもいつの間にか他の人、いや…ジアヌナに対する気持ちとも違う気持ちが出てきて」
『違う、気持ち？』
「ふとした時にAさんが浮かんで温かい気持ちになるんです。何してるかなって考えるだけで自然に顔がほころぶみたいな。思えば、ジアヌナに対しては、とにかくこっちを向いてもらいたい一心でそんな風に思ったことがなかった気がしたんです」
私の目を見てゆっくり気持ちを話してくれるジェノくん。
「色々不安にさせることもあるかもしれないです」
ジェノくんが一つ深呼吸をして、また私はジェノくんの腕の中に入れられて。
「だけど、ゆっくり初めてみませんか？俺たち」
耳元でそう言われた。
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作者名：chato | 作成日時：2022年4月12日 23時
