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*
『ん〜おいしっ』
やっぱりテイルさんのサムギョプサルは美味しくって勝手に顔がほころぶ。
「こんなに美味しいの俺初めて食べました」
『でしょう？でもジェノくんの焼き方も上手だし』
お肉はジェノくんが張り切って焼いてくれた。
私がやるよって言ったけど火傷するといけないし焼くの得意なんですって言うから。
お肉焼くぐらいで火傷なんてしないのに、ジェノくんはたまにこうして女の子扱いしてくれるからなんだかくすぐったくなる。
「ヌナが女の子に肉焼かせるなって…」
『ああ、お姉さんいるって言ってたもんね』
「あ、はい…ずいぶんしごかれました」
『美味しく食べれたから私おねえさんに感謝しなくちゃ』
そんなに上手く焼けるならうちで雇っちゃおうかなってテイルさんも言ってる。
「はい、今日もよく食べました」
すっかりお腹いっぱいになって、お会計を持ってきたテイルさん。
『だって美味しいから仕方ないじゃん』
「はは、うちとしてはありがたいよ。ジェノくんもまたね」
「はい、絶対また来ます」
『テイルさん今度またヨンホのとこでも飲も』
テイルさんに見送られて店を出る。
「Aさん送ります…って近いんでしたっけ」
駅に向かうジェノくんと家に帰る私は逆方向って思ってたらジェノくんからそう聞かれる。
『うん、ここから5分…だから大丈夫だよ』
「もう少し、話しません？腹ごなしに歩きながら…」
『ふふ、いいよ。あと酔いざましね』
私ももう少しジェノくんと一緒にいたいと思った。
「Aさんといるとつい飲みすぎちゃいますね」
ジェノくんが私に心許してるってドンヒョクくんが言ってたのを思い出した。
ふふって二人で笑いながら、でもそのまま会話が途切れる。
もう少し話そうって言ったのジェノくんなのに。
「俺ね」
数分無言で歩いてやっとジェノくんが口を開いた。
「Aさんに謝らなきゃいけないことがあるんです」
『え、私何もされてないよ？』
違うんですって困ったような顔で私を見る。
ちょうど小さな公園に差し掛かったから、街灯の下の小さなベンチに促されて、ベンチの近くの自動販売機でお水を買って私に手渡してくれる。
そして、隣に座ったジェノくんが一つ大きな息を吐いて話し出した。
『俺、ずっと好きな人がいるんです』
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作者名：chato | 作成日時：2022年4月12日 23時
