〇 ページ39
*
「この後どうしましょうか、ていうか時間大丈夫です？」
無事に暗くなる前に地元まで戻ってこられた。
借りた自転車を戻しながらジェノくんからこの後の予定を聞かれる。
『私は全然大丈夫だけど…ジェノくん朝からバイトだったのに疲れてない？』
「俺も全然大丈夫です」
Aさんやさしーってニコニコしてる。
「ただ…聞いておきながら、この後の予定は何も決めてないんです」
なんて困った顔しながら笑ってるから夜の予定は私が決めることにした。
『こんばんは〜』
「お、いらっしゃい。久しぶり」
『えへ。ちょっとご無沙汰しちゃった』
自宅の近所のサムギョプサルのおいしい小さなお店。ヨンホのお店と私の家の間くらいにあるけど、路地裏の目立たないお店でほんとにこの辺りの人しか知らない。店主のテイルさんがたまにヨンホのとこに飲みに来ることで知り合って、一つ上だけど今ではテイルさんもタメ口の仲。
『怪しげだけど味は超保証するから』
「怪しげって失礼な」
『だってホントじゃん』
先にお酒をもってきたテイルさんに笑いながら頭コツンってされたけど、混むの嫌がって宣伝もしないし、看板もないどころかお店の名前すらなくてネットで調べようもないくらい怪しいんだもの。ジェノくんはテイルさんと私のそんなやりとりを笑いながら見てた。
「彼はAちゃんの後輩とか？」
小さなお店だからカウンター内でテイルさんが食事の準備しながら聞いてきた。
「僕ですか？後輩…ではないです。Aさんの後輩の友達です」
『あ、ジェノくんだよ。会社のバイトくんのお友達』
「なんか不思議な関係だね。それよりAちゃん、ヨンホとユウタ以外にメシ友いたんだ」
『たくさんいるってば！ここは人に教えたくないだけ』
「え、俺は良いんですか？」
このお店に来る時はテイルさんの言う通りヨンホかユウタとで、今までそれ以外の人をこの秘密基地みたいなお店に連れてきたことはなかった。なのにジェノくんを連れてくることに抵抗はなかった。
「じゃあ、ジェノくんは特別なんだ」
よろしくねーなんて笑ってるテイルさん。
『うん、まあ、特別…なのかな』
「へへ…なんか、嬉しいな」
テイルさんが特別だなんて言うからジェノくん赤くなってるし、お互いなんか照れたのを誤魔化すようにお酒を飲んだ。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1119人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：chato | 作成日時：2022年4月12日 23時
