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名物だっていうおでんを注文して二人で分け合う。
頬杖をついて窓の外を見てるジェノくんの髪が外からの風を受けてなびいてる。
横顔も綺麗だな、髪もサラサラだな…とつい見とれてしまう。
「Aさん見すぎ」
急にこちらを見てジェノくんが笑う。
『あ、バレた…うん、綺麗な顔してるなあって』
思わず本音が出てしまった。
「はは、そんな直球で…まあ、ありがとうございます？でいいのかな」
照れて頭をかいて笑ってるジェノくん。
『ドンヒョクくんが言ってた、昔っからモテてたって。ジェノくん性格も良いもんね』
「あーもう急になんです？褒めても何もでないですよ」
なぜだか素直に思ったことをペラペラ話しちゃってる私。
『学生生活キラキラしてそうでうらやましいよ』
「そうですか？でも、うまくいかないことだって…ありますよ」
『そか、いいことばっかりじゃないか。色々あるよね』
「はい、色々…色々ありますよ」
ふっと笑ってまた窓の外を見てジェノくんは少し遠い目をした。
色々ってなに？ってなんだか聞いてはいけない顔だった。
「そろそろ行きましょうか」
あの時一瞬遠い目をしたけどまたその後はいつものジェノくんで。
水辺のお店でのんびりした時間を過ごしてお店を出る。
「またいらっしゃいね。ジェノくんいつも一人だからたまには一緒に」
見送りに来てくれたお店の看板娘のおばあちゃんが私にそう声をかける。
『はい、また来ますね』
「ジェノくんにこんな可愛らしい人がいたなんて安心したわ」
『あ、私は…』
「ふふ、安心しました？またきますね、一緒に。ね」
『あ、うん』
そういうんじゃないんですって言いかけた私を遮ってニコニコ話してる。
ん、今のなんだろ。とりあえずそんなフリ…して良かったのかな。
来た道をまた自転車で走る。
ちゃんと私を置いていかないように走ってくれてる。
「また、行きましょうね」
『もちろん』
途中少し休憩した時にもそう言われた。
「また」という言葉に浮かれるほどもう子供でもない。
休憩しながらキラキラ光る水面を見てたら横から感じる視線。
『なに？』
「ん？Aさんだって可愛いですよ」
『やー、さっきのお返し？』
「ホントに思ってますってば」
やっぱりジェノくんはいつだって私をドキドキさせるのがうまい。
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作者名：chato | 作成日時：2022年4月12日 23時
