BAR127 ページ1
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「はい、俺の勝ち〜！じゃ、一杯いただきまーす」
「あーやられた！すいません、ジントニックひとつお願いします」
「あはは、こういうの強いよねえ」
奥のソファ席でゲームしながら飲んで騒いでる男女のグループ。
『ねえヨンホ、あの子たちよく来るの？初めて見たけど』
今日はいつもお店で顔を合わせる常連さんたちがいない代わりにその子達がいるから何だか気になった。
「ん、最近かな。駅のあっち側の大学通ってるんだって」
『大学生か〜なるほど。ここんとこ忙しくて来れてなかったからな、私』
自宅の近所にあるBAR127。
近所なのもあって、会社帰りや今日みたいな週末でも気が向くと一人で飲みに来る。
ただここのところ忙し過ぎて、ようやく仕事も落ち着いた週末。約１か月半ぶりに訪れた。
「随分忙しそうだってユウタが言ってたよ」
『夜中仕事してる時にここいる〜って連絡来たわ。ほんっと忙しくて！やーっと来れた！』
「1ヶ月半も来れなかったの初めてじゃない？じゃ、頑張ったAちゃんに俺から一杯どうぞ」
そう言ってヨンホが作ってくれたカクテル。
『えっ、いいの〜？ヨンホ優しい！仕事頑張って良かった！』
オーナーのヨンホは同い年で、良い話相手。
初めてお店を訪れた時から意気投合して、かれこれ3年になる。
こうやってさりげない気遣いもできるから、ヨンホ目当てで通う女性客も少なくない。
『それにしてもあの子たち元気だね』
まだゲームに興じてる奥の席の子達。どうやら負けた罰ゲームは今度はテキーラになったらしい。
「大学生だしね。Aにもあんな頃あったでしょ」
『もうはるか昔に感じるわ…若いっていいな』
「ははっ、何言ってんの。俺たちだってまだまだ若いってば」
そう言って笑うヨンホが私に作ってくれたカクテルは少し苦味のあるオトナの味だった。
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作者名：chato | 作成日時：2022年4月12日 23時
